「テルマエ・ロマエ」
考えてみれば、お湯を沸かして浸かる日本の "お風呂" って、外国に似た様な物があるとすれば "ローマ風呂" だけですよね?
時代も文化も全くちがうけど、この希少? な共通点に目を付けた発想で勝負する奇想天外な物語だ!
居酒屋で話す冗談みたいな内容を作品化する映画って、結構あるし楽しいのだけれど、大概はあまり本気でないオチャラケで終わっているところを、本作はしっかり人間ドラマを組んで、史実と絡ませたりと、映画作品として昇華させているところにとても好感を持ちました。
これは脚本家の力量によるところでしょうか。
主人公の、ローマ風呂の設計者である阿部寛さんは、次々と新しいローマ風呂の構想を練ったり、皇帝から設計を依頼されたりで発想に苦しむ。
そんな時に思いがけず日本の銭湯にタイムスリップし、そこで得たカルチャーショックをヒントにローマに帰り、新しいローマ風呂を生み出して賞賛を得るのだが、彼はそれが自分のオリジナルではないことに苦しむのだ。
そして時の実在した皇帝との絡みや、苦戦している戦場に浴場を作って勝利に貢献したりと、ローマの史実に絡めることでリアリティまでも出している。
そしてヒロインの上戸彩との悲恋も絡めたりと、いや〜楽しいですよ♪ ローマ帝国の描写では「ベンハー」みたいな重層な音楽やし、CGを駆使したローマの街並みも並々ならぬ入れ込み様です。
ローマのシーンでは皆普通に日本語を話すのだけれど、外人キャストは日本語に吹き替えてたり、タイムスリップした日本でのシーンでは逆に阿部寛のセリフがローマ語? になって字幕を入れ、終盤上戸彩がローマに行った挙句には何と "BILINGUAL" と表示が出て笑わせてくれます。
そして思わぬ活躍を見せる上戸彩の故郷の温泉地の老人仲間の中に何故かいる竹内力と、本当楽しくてロマンある映画になっていました。