「鉄道員」

 これはもう哀切に満ちた美しい美しいホームドラマでしたね。

 戦争に負けた後のイタリアで、機関車の運転手の父親と、その家族の暮らしを描いた 物語。
 日本もイタリアと同じ敗戦国だから 共感しうる生活観と言うことがあるのでしょうか、コレ観てると「ああ、何処の国もお父さんって 同じなんだな……」と言う感慨が湧いてきます。

 監督のピエトロ・ジェルミが自ら主演の父親を演じているのだけれど、こ〜の芝居! 彼氏の 出来た娘を心配してぶつかり、酔っ払ってギター弾きながら歌って寝ちゃう姿とか、なんと言う 自然!
  監督が主演も兼ねてる作品って、チャップリンとかは別として、ケビン・コスナーとかケネス ・ブラナーとか、大体がちょっとエーカッコシーに見えて嫌味なもんなんだけど、ここでのピエト ロ・ジェルミは本当に一俳優として映画の中に溶け込んでいますね。

 白黒で捉えたロケーション。ただただ続く家族の生活の姿。だけどここまで胸に迫る詩情が あるのはやはり戦争に負けた国と言う背景のせいか……。

 普通に生きる庶民の姿を活き活きと活写すれば、それだけで素晴らしい作品が出来ると言 う見本なのかもしれませんね。音楽も素晴らしかった。

 こゆの見ると「やっぱ映画はフランス・イタリアに限るのかなぁ」とか思っちゃう。



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