「トゥー・ブラザーズ」
コレは新鮮でしたよ。監督のジャン・ジャック・アノーはコレに先立つ
「子熊物語」でも同じ手法を使い、野生の熊を「擬人化」はしないまま、その感情
を縦横無尽に表現しつつ、観客を熊に感情移入させてストーリーを展開するという
新しい試みを見せた。
本作はその「第二弾」で、今回の主役は虎の兄弟だ!
野生に暮らしていた虎の家族が人間に襲われ、父虎は死に、母は囚われ、兄弟虎の
一匹は逃げ、一匹はサーカスに売られる。
そして波乱万丈の展開があり、兄弟の再会や逃走など、観客は擬人化されていない、
"全くの虎" に感情移入して物語にのめり込んで行く。
これまでにも動物を主人公とした同じような作品はあったと思うけど、大概は動物
に人間の言葉を喋らせてましたよね。
本作の凄いのは、虎たちをあくまでも "リアル虎" として描いていることです。
お互いそうとは知らずに殺し合いをさせられそうになって、最初は戦うんだけど、
途中でお互いを兄弟だと思い出してジャレ合いだしたり、他にもいろんな場面で感動
しますよ。
最近スピルバーグの「戦火の馬」を見ててコレ思い出したのだけれど、「戦火の馬」も
馬を同じ様な手法で描いてるんですが、なんだか中途半端な気がしたのは、人間の
少年との絡みを主体にしたからかな、と考えてしまった。