「椿三十郎」
かの「用心棒」の "桑畑三十郎" が今度は "椿三十郎" と名乗って登場する続編? そ
もそもこの作品の起こりは山本周五郎の「日々平安」を映画化しようとしていた黒澤が東宝から
「用心棒」の続編にしてくれ。との注文を受けて作ったと言うのと、「日々平安」をシナリオ化しよう
としてもどうしても面白くならないので三十郎を持って来たと言う話を聞いたことがあるのだけれど、
どっちなんでしょう?。
原作の「日々平安」を読んでみると、確かにストーリーは殆ど同じだけれど、主人公は三十郎と同じ
貧乏な浪人でも決して剣豪ではなく、剣術等は全くダメ。弱いけどトンチ小僧の様な頭の良さ
があって、それで難関を切り抜けて若侍たちの窮地を救って悪をやっつけると言うお話でした。
それを読んでから改めて「椿三十郎」を観ると、何か三十郎が活躍するアクションシーンが全て「見
せ場を作る為に取って付けた」様な印象さえ持ってしまいました。
考えてみれば全編中最大の立ち回りである「ン十人斬り」シーンって、単に三十郎が部屋を出て
行く時若侍たちに「俺は奴等に組した振りをしてスパイになるからヨ」とでも言っておけば若侍たちも
勘違いしなかったのだし、後で「とんだ殺生したぜ」って若侍たちを殴らなくっても良かったハズだ。
とーは言え観てる方はあ〜の「用心棒」の三十郎がまた観れるのだと言うことで、始まりからもう
興奮のルツボでしたよねぇ〜勿論オイラは初めて観たのフジテレビで「用心棒」と2週連続放映の
時でしたけれど、その日は塾から自転車猛スピードで飛ばして帰って観たの覚えてます。
もうあのラストシーンで呆然としてね(笑)思えば原作では主人公が剣豪じゃなかったのと同じく、
ライバルの室戸半兵衛も勿論登場しなかった訳で、室戸半兵衛ってあんなに存在感がありながら
途中立ち回りのシーンは全く無くて、初めて三十郎と殺陣に及んだのがあのラストですからねぇ、何
かそう思うと勿体無いと言うか、可哀想な感じもしますよねぇ。