「宇宙戦争」

 コレ50年前の映画を子供の頃テレビで観た時は恐かったよねぇ〜もう〜テレビにかじりついて 驚愕してた覚えがある。今思えばあんなドッチラケなオチも無いもんだけど、その時はもう宇宙人 が自然に死んでくれて 「ああ〜〜なんて良かったんだぁ」 と神に感謝したもんです(笑)。

 それだけ宇宙人とは人知の及ばぬ奴等だと感じさせたところが凄かったのかもしれないけど、 50年を経てのリメイクが同じオチだとは! スピルバーグさんよう、手を抜くなよ! と言いたく なる。
 まぁヘタに人類が闘って勝つとか言う展開にすると 「インディペンデンス」 になっちゃうかもだ けど、でもこのリメイクの興味はやっぱしオチの付け方だったよねぇ、それで肩透かしを喰った と思ったのはきっとオレだけじゃないんじゃないかな。

 そもそも見てて思ったのはアメリカSFと言うよりかつての東宝円谷特撮だったな。宇宙人のメ カが円盤でなくガシャガシャ歩く三本足のロボットだったから 「地球防衛軍」 のモゲラとか思い 出した。
 逃げ惑う人間の群れを追い立てて山の上を歩いて光線出すところなんかモロにオーバーラッ プして懐かしかった。だから「地球防衛軍」みたく人類が英知を結集して立ち向かうワクワクな 展開を期待してしまったのかもしれないな。

 話の内容はスピルバーグらしく父親と子供たちが逃避行の中で絆を取り戻す展開なんだけど、 娘はまだ10歳なので泣き叫んで着いて来るだけ。息子の方は高校生? で十代の正義感や 怒りを持ち合わせていて、父の止めるのも聞かずに軍隊と一緒に闘うんだ! って突っ走って 行ってしまう。
 あれだけ劇的に別れた息子が最後妻の実家にたどり着いたら無事でいました……って言う だけじゃなんだかなぁ。あの息子が最後父と再会するまでどんな体験してたのかを見たかった。 でもここではトム・クルーズがあくまで主役と言うことなんでしょうか。

 それにしてもこの父親役のトム・クルーズはカッコ良すぎでしょう。女房に逃げられて子供まで 持って行かれた情けない男には見えない。リアルにこの役のキャスティングを考えるならロビン ・ウィリアムスとかじゃないのかな。
 それと後半出て来るティム・ロビンスの意味が分からない。堂々たる一級ハリウッド演技派男 優がなんでこんな役で出てるんだ? 全く良いとこ無しでさしたる演技力も必要じゃない様な。 スピルバーグ・ブランドと言うのはそこまで大物俳優にとっても魅力なんだろうか。

 全体にやたら残酷に人間が殺される描写が目立って、そうしないと宇宙人の脅威が表現出来 なかったんだろうか、パニックに陥った人間の浅ましさや醜さはリアルに表現されてるけど、ただ 単にトムお父さんが子供を連れて逃げ行くだけの展開。それも途中 「なんでトムだけはやられな いんだ?」 「なんでトムの車だけは通り道がいつも空いてるんだ?」 と突っ込みどころが続々と 登場する。
 まぁ50年も前のリメイクだし、懐かしく見れる面もあるのだけれど、それにしては殺人場面の残 酷な描写が際立ち過ぎてた。

 人間は浅ましいけど、こんな素晴らしいとこもあるぞ! と言うアンチは全く無く、ただ強靭な宇宙 メカに右往左往して逃げ惑い、自分だけは助かろうと醜く争い、最後は偶然助かっただけ。

 宇宙人たちが人間を虫けらの様に殺して行くのを見て、こないだウチの風呂場に発生したアリの 大群をゴキジェットで大量虐殺したのを思い出した。
 宇宙人から見れば人間も害虫と言う認識ならばためらわずにこんなことも出来るんだろうなぁ…… と思うと身震いしてしまう。
 やはり一番恐いのは人間、と言うことなんですかね。虫ケラの様に駆逐されて行く人間を観客は 何の危害も加えられることなく楽しんで見ているんだものねぇ。だからこその娯楽なんだろうけど。 そもそも地球にはそれどころじゃない大変な戦争や苦しんでる人たちがいると言うのに、こんなもの 見てて、気楽なもんだな……等と余計なことまで考えてしまった。

 そんななので全体にただ逃げて俺達だけは助かりましたぁ、ってな映画なんだけど、そこはスピル バーグの力技で途中ドキドキハラハラさせる展開は上手く飽きずに最後まで間を繋ぎます。
 スペクタクルな絵作りやメカの迫力もあいまって観てる間は楽しいですよ。でも観終わるとパニクっ た時の人間のヤなとこばかり見せられて突っ込みどころ満載で残るモノは何も無しでした。

 だけど他の感想サイトでも皆言ってた 「大坂で2体倒した」 っての、気になるよなぁ(笑)どうやって 倒したんでしょうねぇ。やっぱし地球防衛軍なのかなぁ。



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