「浮雲」
こぉ〜れ凄い映画でしたねぇ。
子供心に「コレが男女の腐れ縁という物なのか……」と、すっかり解った
様な気になって、銀座の並木座を出て来たのでした。
あ〜の、外国(だったかな)へ向かう船の上で、二人で身を寄せ合って雨を
しのぐ姿に、男女の言い知れぬ切なさが胸が詰まりました。
後に林芙美子の原作も読みましたけど、これ程寸分違わず原作を映像化し得た
作品はあるのだろうか……というくらいマンマやった。
しかもあ〜の香り高い文学的な味わいを損なわず! にですから〜そりゃ
凄いですよ。
脚本水木洋子=監督成瀬巳喜男の度量なんでしょうけれど。
主演の高峰秀子も素晴らしかったですねぇ。
……と映画の感想としては「素晴らしい! 素晴らしい!」の連呼なんです
けど、映画の内容はというと……。
妻のいる男にいつまでもこだわって離れられない女と、妻と別れると言いなが
らいつまでも別れず、かと言って浮気相手との関係も断ち切れないウジウジした
男の話です。
いつまでも出口のない迷路をさ迷っている二人の姿が、本当イライラするんで
すけど、そのイライラを超えると締め付けられる様な切なさが待っているんです
よねぇ〜。
自分の知らなかったそんな感慨を味あわせてくれた、コレも稀有な作品でした。
いや〜映画って本当に凄い物ですよねぇ(笑)