「ＷＡＳＡＢＩ」
いつかの東京国際映画祭で対面したリュック・ベッソンが広末涼子に「今度僕の
映画に出てくれよ」って口約束したのが実現したのがこの作品。でもベッソンの監
督作品ではなくプロデュース作品。この内容と殆ど関係ない題名からしてジャン・
レノと広末涼子主演で日本で撮影する為に作った企画と言う感じ。一応ジャン・レノ
がワサビ好きで手づかみで思いっきし喰うシーンが取って付けた様にあります。
舞台となるのは殆どが日本で、秋葉原や新宿の見慣れた場所にジャン・レノが
普通にいるという風景が不思議。しかしこの作品、広末涼子とジャン・レノが日
本を舞台に共演する為に捏造されたストーリーはかなり強引です。フランスのや
り手刑事が１９年前に日本で愛した女性が急死したと言う知らせを受けて来日す
る。そこで自分と愛人の間に出来ていた娘と再会し、事件に巻き込まれて行く
……この展開を成立させる為の内容や設定はつっこみどころ満載なんだけど、
そこはフランス映画のウィットと言うか、何より広末良子の存在感で許せてしま
う雰囲がこの映画にはあると思う。
ジャン・レノってリュック・ベッソンの初期作品では凄い良かったけど、ブレイクして
から後の出演作では精彩を欠くと思いません？ トム・クルーズとの「ミッション・イ
ンポッシブル」とかロバート・デニーロとの「ＲＯＮＩＮ」とかも完全に喰われちゃって
てショボかったよねぇ。でも本作では娘役の広末涼子の輝きによってタフで頼もし
いお父さんとして引き立てられているせいか、良い感じだと思いました。
何故かフランス語の出来る日本人ばかりだったり、実際にこんなことしたら一体
パトカー何台来ちまうんだ？ ってシーンがいっぱいあったり、おかしいとこばっか
しなんだけど、全編を包むフランス映画の雰囲気で楽しく見れてしまうところが凄い
ですね。何よりコレを見て広末涼子って凄いんだな……って思ってしまったけど、
あのフランス語ってまさか吹き替えだったのかな？