週間? TV映画勝手におしゃべり!



「ランボー3 怒りのアフガン」(88米)


5月29日午後1時35分~テレビ東京

 怒りのアフガン……って?

 本作品は当時ソ連に占領されてたアフガニスタンに、ランボーが乗り込んで地元のゲリラと一緒にソ連と戦うと言う内容で、確かラストのテロップに"アフガニスタンの兵士を賛美する"文章が出たと思うんだけど、後に彼等がテロリストになってアメリカで9.11テロを起こそうとはこの映画の封切り当時は誰も予想しなかったんでしょうねぇ。

 アメリカは「ビン・ラディン」を殺す為にアフガニスタンを散々空爆とかやって、今思うと「何が怒りのアフガンだ!」と言う感じ。全くアメリカの単純さ、脳天気さには恐れ入る。

 この作品では侵略しているソ連軍に抵抗するアフガニスタンのゲリラを褒め称えておきながら、後には一般市民も巻き込んで徹底的に空爆してるんだから。

 例のテロがあってからこの映画は永遠に封印されてもう二度と陽の目を見ることは無いと思ってたのに、日本では平気なのかな?

 もしかしてアメリカ人よりも脳天気なのは日本人? 日本人は関係ないもんなぁ(笑)かつてレーガン大統領はホワイトハウスで閣僚と一緒に「ランボー怒りの脱出」の上映会をやったそうだけど、アメリカ人って何なんでしょうねぇ。
 子供の頃によくいた喧嘩の強いガキ大将な性格そのまんまですね。単純で、時として正義感つよくて、でも強いだけにズルイとこもあって……。

 おっとここではランボーの話でしたね。この作品、そんな政治的背景を抜きにしてもイマイチでした。
 ただ冒頭ランボーが日銭を稼ぐ為に一対一の賭けファイトをする件はカッコ良かった。

 しかし本当はアフガニスタン人なんか賛美する気も無いクセに、たまたまソ連と戦ってたもんだから賛美する様な文句を入れて、今さらながらちょっとねぇ……って感じだ。
 ジョン・ウェインの「グリーン・ベレー」とか思い出しますねぇ。



「エアポート ユナイテッド93」 (06米)


5月26日午後1時35分~テレビ東京

 9.11テロの際にハイジャックされた旅客機の中で、唯一乗員乗客たちの抵抗で目標を逸れた飛行機の中で何があったのか……に迫るドキュメントタッチのドラマ!

 コレ実はテレビドラマで、確か同年に公開された映画「ユナイテッド93」と殆ど同じ内容。

 映画とテレビで同じ題材を扱うのってよくあるけれど、コレ両方テレビで観たせいか、なんで同じ物を二つ作る必要があるの? と疑問に感じた記憶がある。

 でもオレ、このテレビ版を先に観たせいもあるのかもだけど、映画版よりこっちの方がタッチといい、最後墜落する瞬間に迫ってくる地面の映像といい、ずっと強烈に印象に残っている。

 同じ時期に公開されたオリバー・ストーンの「ワールド・トレード・センター」がなんだかつまらなかったのに比べて、本作は緊迫感に満ちていて、人間を応援したくなる素晴らしいドラマでした。



「ランボー 怒りの脱出」 (85米)


5月22日午後1時35分~テレビ東京

 1作目で町を相手にたった一人で戦争を巻き起こし、その罪で服役中のランボーに「罪を許してやるかわりに今もベトナムに捕虜として捕まっているアメリカ兵を救出してこい」と言う命令が下される。
 で単身ベトナムに乗り込んだランボーの大活躍!

 ここでのランボーはもはや1作目の本当は普通の男であると言うリアリティは消し飛び、アメリカ人好みの絶対死なないスーパー大活躍!
 どんな凄い拷問にあっても、どんな凄い攻撃を受けても、ソ連のヘリコプターに撃墜されても、これでもか、これでもかと絶対に死なないどころか死んだフリまでするランボーに「いい加減にしろ!」と突っ込みを入れたくなる。

 それでもこのスケールアップした第二作の戦闘シーンはアメリカ軍やCIAが協力して実戦を想定して考案されたのだとか……実際の戦闘ってみんなこんな都合良く行くのかよ!
 って言うかこの戦闘シーンはみんな「こうなったら良いのになぁ」と言う軍人たちの理想の形なのかなぁ。素人目に見てもあり得ない気がするのだけれど。

 1作目の悲壮感と違って、ここでのランボーはターザン等に代表されるアメリカンヒーローそのもので、それに対する悪の対象も設定されており、ラストにカタルシスもある徹底した娯楽仕立てだ。

 1作目の原作権はスタローンが高額で買い落としたらしいけど、この2作目はスタローンがかのジェームス・キャメロンと好き放題に書いた様な感じですね。

 まぁ見世物としてはハデだし笑えるし、見る価値はアリだと思いますけど……。

 ただ最後のセリフ、ランボーが心を開けるたったひとりの上司(リチャード・クレンナ)に「国を恨むか?」と問われ「報いられると信じて戦ったのだから恨みません」と言い「これからどうする?」との問いにはただ「日々を生きます」と応えたのには何か凄く胸を打たれた覚えがある。

 1作目の「ランボー」にはまだスタローンに見所のある演技がいっぱいあった、特にラスト、上司に戦場でのことを泣き語るところとか、でもこの2作目以降、娯楽エンターテインメントに走るにつけて、次第に筋肉バカな印象を強めて行った感がある。
 それはロッキーシリーズでも言えることだったと思うけど。



「トータル・リコール」(90米)


5月15日午後1時35分~テレビ東京

「ロボコップ」と言う異色の近未来SFでブレイクした奇才ポール・バーホーベン監督&シュワルツェネッガー主演の超大作。

 未来の世界で様々な惑星を舞台に奇想天外な活劇が展開して行くストーリー。この映画の予告編は異常に面白そーでした。

 主人公の持っていた記憶が実は他者から植え付けられた物で、実は自分は全く違う人間だったことが分かる。そしてその記憶を取り戻し、本来の自分を賭けて戦いに挑んで行く……。

 火星のセットとか今みたくCGじゃなくミニチュアだったり、一昔前のSF映画の楽しさが残っていますねぇ。
 それでも空港で大きなおばちゃんみたいのが震え出したと思ったらシャキンシャキンと顔が割れて中からシュワちゃんが出て来る件の映像とか当時はギョエーとなったもんです。
 あとタクシーの運転手がロボットと生身の人間のとあって、ロボットの運転手がクイダオレ人形みたいで楽しかったですねぇ。黒人の人間の運転手は確か途中で狂ってシュワちゃんを追いかけてくるんじゃなかったかな……。

 ただこの映画、記憶の入れ替えとか面白い設定がいっぱいあるのに、何かいまひとつ盛り上がらなかった記憶もあるんだよなぁ。
 バーホーベンとしてはあまり奇才ぶりが発揮されておらず、割とスマートなSFな印象になってしまった感じかな。「ロボコップ」みたいな屈折した未来の恐さとかは無かったですよね。

 惑星のチープなセットとか、遠い未来なのにシュワちゃんが現代の道路工事のおっさんみたくアナクロな掘削機を使ってたりとか、面白い突っ込みどころもあるんだけれど。

   後で考えると、コレはシュワちゃんみたいなタフガイではなく、アメリカンハードボイルドのヒーローみたくあんまし腕っ節は強くないけど限りない正義感に満ちていて絶対屈服しない男とか……とにかくもう少しリアルな人間味のある役者がやった方が良かったんじゃないかなぁと思いました。

 まぁお金のかかったマンガとしては十二分に楽しいんですけどね。
 それと「氷の微笑」でブレイクする前のシャロン・ストーンがシュワちゃんを騙していた奥様役で見事なアクションを見せてます。
 それとこの悪役の男優もこの後いろいろ大作に出る様になりましたね。



「ガントレット」(77米)


5月7日午後1時35分~テレビ東京

 こぉ~れもお懐かしい。当時はとにかくテレビでCMバンバン流してて、「バスに2千発の弾丸! バスに2千発の弾丸っ!」って煩いの何の。

 この謳い文句は、鉄板等を溶接して弾除けにした大型バスにイーストウッドが当時奥さんだったソンドラ・ロックを乗せて銃を構えた警官達がズラリと待ち構える中を銃弾の雨を浴びながら突っ切って行くラストの見せ場のこと。

 今でこそ「ミリオンダラー・ベイビー」やこないだの「硫黄島からの手紙」等で芸術性の高い映画を撮る一流監督として名を馳せているイーストウッド兄貴だけど、見よ! この大ハッタリB級の面白さを!

 コレこそがイーストウッド監督の原点ですよ、あくまで原点は"娯楽性"なんですよ。なんてったって「バスに2千発の弾丸!」ですぜ。

 この頃のハリウッドアクションって、何でも最後に凄い見せ場がありゃ成り立つみたいな傾向があって、特急列車が駅に突っ込む「大陸横断超特急」とか雪崩れで列車が埋まる「アバランチ・エクスプレス」とか巨大飛行船が燃えちゃう「ヒンデンブルグ」とか……そんなんばっかしやった。

 しかしてこの「ガントレット」はイーストウッド扮する刑事 "ショックリー" が警察上層部の悪事を暴く為に裁判の証人ソンドラ・ロック姉ちゃんを敵の攻撃をかわしながら護送して行くと言うストーリーで、イーストウッドで刑事だし、何でダーティーハリーシリーズじゃダメなんだろう? と思ったものだけど、イーストウッドとしてはもうハリーはパート3で打ち止めと思ってたのでしょうか、まさかその後パート4、パート5が作られるなんて本人も思ってなかったのかもしれませんね。

 それにここでイーストウッド演ずるショックリー刑事の人物像はハリーとはちょっと違う、最初はアル中でどうしょうもないダメ刑事として登場するし。

 今思えばこのオープニングで流れるジャズ音楽と物憂い雰囲気は後にイーストウッド監督が作り出して行く名作群の萌芽を感じさせますね。

 それと何ともエキセントリックでインパクトの強かった女優、ソンドラ・ロックを後に乗せ、グラサンしてバイク(ハーレー?)に跨り走る勇姿は後の「ターミネーター2」に繋がって行くんでしょうか。

 それと勿論皆さんが楽しみにしていたラスト「バスに2千発の弾丸っ!」のシーンが見れればもう言うことなかったですね(笑)ここでの両側からの銃乱射の中をバスが行くシーンは、どこぞの国の刑罰で鞭を持った執行人たちが両側に立ち並ぶ中をしばかれながら歩いて行くと言う刑罰に由来するのだとか。



「 アイアンマン」 (08米)


4月29日午後1時35分~テレビ東京

「バットマン」や「超人ハルク」に連なる今流行りのアメリカンコミックの映画化作品。

 アメリカでヒットしていて、役者も大物が出て良く出来ていそうなので、映画の日にセッセと行って来ました。そしたら予想通りのウェルメイドで楽しかったですよ♪

 原作が古いせいかヒーロー物としては定番な展開なんですけど、シナリオも演出も役者も一流の方々が卒なくこなしていて、言わば寅さんシリーズの中の「名作」と言った感じ(例えがヘンかな)。

 ああ、この人はここで死んじゃうんだろうな……と思うと殺されるし、ああ、この人は大物役者だからきっと黒幕なんだろうな……と思ってるとその通りだし(笑)ヒロインはそうあるべき役割を果たすし、最後は悪玉のロボットが出てきて対決するのかな……と思うとその通りになる(笑)

 で~もそれが「先が読めて面白くない」と言うのではなく「ことごとく期待に応えて楽しませてくれる」ノダ。

 人が死ぬ時にはしっかり感慨を残すし、ヒロインは可愛らしく、悪役は憎らしく、主人公の気持ちの移り変わりも無理なく劇的に……と定番な展開を一流の仕事で見せてくれるので何とも気持ち良い。

 この映画の楽しみ方としては「いよっ、待ってましたぁ、ヤレヤレやっつけろ~!」ってな感じかな(笑)。

 定番とは言えシナリオによっては駄作になる物も多いけど、コレは全編を通じて上手く計算してるし、憎い伏線もしっかり張って、観客を楽しませることが徹底してる。

 演技陣もロバート・ダウニー・ジュニアを筆頭にヴィネス・バルトロワ。ジェフ・ブリッジス(入道様みたい)がそれぞれのあるべき役柄のポジションをプロフェッショナルに演じる。

 まぁ目まぐるしいCGのロボットアクション場面とかはそんなに新味無いですけどね。普通にロボット物と言う感じ。

 惜しむらくはそこかなぁ。ロボットのデザインに今ひとつ愛嬌が無い。原作のデザインがあるからそう変えることも出来なかったのかもしれないけど、フィギアとか欲しいと思わないものなぁ。

 その点では昔の東宝メカゴジラやメカニコングとかの方がよっぽど可愛らしかった。アイアンマンは最初に戦場から逃げる為に作ったブリキっぽい初号機が一番ステキ。

 それと最後にちょこっと流れる懐かしきオジー・オズボーンの「アイアンマン」って曲はそもそもこのコミックのタイトルだったのかな?。



「007/ゴールデンアイ (95英・米)」 (2014日)


4月9日午後1時35分~テレビ東京

 先代ブロズナン=ボンドの登場編。これの封切り時は本当に盛り上がった!

 予告編で観たブロズナンのハードでクールなボンド振りには期待させるに充分な魅力を感じた。そして往年のお約束を守ったオープニングのド派手アクションも鮮烈でした。

 でもオレ的には何と言っても特筆すべきは何よりエリック・セラの音楽ですよ!
「グレート・ブルー」「二キータ」等リュック・ベッソン作品のあのカッコ良くエレクトリックで、それでいて切ない旋律が007でどんなふうに活かされるのか!

 オレはもうオープニングで♪ドンドコドンドン~と突発したボンドのテーマでいっちゃってた(笑)
 なんと言う興奮! なんと言うワクワク感! ってエリック・セラ好きなオレの個人的な感動だけれど、セラの担当した007はこれだけだっただけに、今となってはブロズナンの1本目と言うよりは「エリック・セラのボンド」と言う印象なのだ。

 以後音楽を担当したデヴィッド・アーノルドはそのまんまジョン・バリーのバリエーションと言う感じで、時として陳腐な環境音楽を聞いてるみたいで嫌いです。
 かつてマービン・ハムリッシュとかポール・マッカートニーみたく、自分の個性を出しつつやっぱり007だというアレンジを聴かせて欲しいですよねぇ。

 本作はアクションシーンの音楽のアレンジもセラらしくユニークで何とも楽しいことでした。
 それに随所に流れるあの切ない旋律! ボンド映画でこんなに切ない旋律が流れたことは他にない。

 エンディングもいつもの007だとオープニングのテーマ曲がアレンジを変えて流れるんだけど、こ~の作品のセラはまったく違うスローテンポで、セラ度100%の切ないメロディー。この透明感はどーですか!(そこまで放映されないかな……)。

 この作品のことをしゃべるとどうしても音楽のことばかり言ってしまう。内容的にはその後のボンド映画の流れとなるダイ・ハード的ド派手アクションと、結局は金目当てだった威勢だけ良い小物悪役なのでした……。



ホームページに戻る