「欲望の翼」
ウォン・カーウァイ作品に始めて出会ったのは例の「恋する惑星」だったけど、それより4
年も前に撮られていたこのレスリー・チャン主演作を後からテレビで観た時の方がず〜っと鮮烈な
印象を受けた。この空気の流れ、映像の切り取り方、レスリーの鬼気迫る演技! コレは凄い才能
を感じますね、出始めの頃の森田芳光じゃないけど、そんな新しい気鋭が溢れています。とは言え
オレはカーウァイ作品の魅力の半分くらい? はカメラマンのクリストファー・ドイルの映像にあ
ると思ってるんだけど。まぁ現場でどの程度自由に動いてるのかは分からないけれど、この自在に
動くハンドカメラの動きは紛れも無くカメラオペレーターのセンスでしょう。もし監督自らがオペ
していたら分からないけれど・・クロード・ルルーシュってこともあるからな。とにかくコレは何
がどうと言うのではなく、ただただ映画と言う時間の流れをうっとりと、ボォ〜っと眺め、見入って
しまう、やるせなく切なく美しく凶暴でナイーブで・・そんなタイプの映画の魅力満点の詩的な作
品でしたね。