「許されざる者」

 おそらく、いや間違いなくコレはイーストウッドの監督作品の中では最高ですね。

 イーストウッドでなければ作れない作品でした。冒頭のテロップに「この作品をドン・シーゲルとセルジオ・レオーネに捧げる」って文字が出るんだけれど、映画ファンならもうここで手に鳥肌、胸の奥がジーンと熱くなって来ますね。

 セルジオ・レオーネはその昔アメリカで伸び悩んでたイーストウッドがイタリアで成功する「荒野の用心棒」に始まるシリーズ3作の監督。

 ドン・シーゲルはその後アメリカに戻ったイーストウッドが始めて主演して大ヒットを飛ばし、アメリカのスターとしてブレイクしたかの「ダーティー・ハリー」の監督です。

 もうふたりともこの世にはいないけど、やっぱりイーストウッドと言えばマカロニ・ウエスタンとダーティー・ハリー、小さい頃からテレビ等で見て来て、ここへ来て初めてリアルタイムで映画館で封切りでイーストウッドの映画を見るオレの様な世代にとって、このテロップはもう本当に感慨深いモノでした。

 内容は、若い頃は賞金稼ぎで鳴らした荒くれ者のイーストウッドが、もう今は隠居して幼い子供たちと牧場暮らしをしているんだけど、あまりにも貧しいのでもう一度銃を持って昔の仲間と賞金稼ぎに出かける……

 子供たちの母親であるイーストウッドの奥さんは既に亡くなっていて、牧場の片隅にお墓が立っている。

 物語はその奥さんのお父さんが、何故自分の娘がイーストウッドのことをそんなに好きだったのかが分からなかった……と言うところから始まる。

 端からみると確かに無口でガンコで荒くれ者のイーストウッドのことを、その奥さんが何故そんなに深く愛したのか、ストーリーの展開と共にそのイーストウッドの人物像が浮き彫りにされて行く……と言う構成になっている。

 これがなんとも素晴らしいノダ……これこそが男の中の男! なんて言っちゃうとそれだけなんだけど(笑)

 世の中単純に善と悪なんかじゃ割り切れない、このたったひとりの男の生き様、行動の中に何かもっと凄いモノを見せつけられる、ああ奥さんは彼のことを良く知っていたんだなぁ、と言うオチなのだ。



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