「夕陽のギャングたち」

「僕は快楽主義なんです」なんてよくほざいてるんですけど、その中でも映画は一番気持ち 良いものだと思ってます。
 ドラックはやったことないので分からないけれど、アレは身体に悪いし、性的な快楽だって その時だけですぐに忘れちゃうでしょう。

 音楽はたった1フレーズで人の心をつかんでしまう凄さがあると思うけど、あまり 繰り返し聴いてると感覚的に慣れてしまいますよねぇ。
 小説にも小説にしかない快楽がありますけど、何日も掛かって「読む」という能動的な行動 の果てに得られる自分の内面からの感動ですよね。

   やっぱし一番力強くて! えもいわれぬ快感に身を委ねられるのは「映画」だと思っています。

 前置きが長くてスンマセン。で本作! 生涯に6本しか長編映画を残さなかったセルジオ・レ オーネ監督! 小泉総理も聴いてたらしい映画史上ナンバーワン音楽家のエンニオ・モリコー ネ! 名優ジェームズ・コバーン! そして荒くれ盗賊だけれど純真で憎めないロッド・ スタイガー親父!

   この哀愁、この友情はどうですか! 時代の波に翻弄されながらも自分であろうとする男に まとわり着いて離れない、後悔! そして郷愁よ!

 こ〜の巨大な橋の爆破シーンを見よ! 大爆破シーンと言えば何が浮かびますか? こ〜の 哀切極まるモリコーネの旋律とともに愕然とする巨大感で木っ端微塵になる橋! 何ですかこの胸 に迫る強烈な情感は!?
 理屈を超えたところに映画の快楽はあると思うけど、それを作り出せる監督はそうはいない!

 サントラのCDは透けて見える程聴いています。何年か前に東京国際フォーラムで生 演奏を聴いた時には全身が耳になってしまい、鳥肌で歩けなくなった。

 少しは内容のこと書きますと、メキシコ革命の戦争時代に、アイルランドの革命家ジョン (コバーン)が反乱軍に加勢する為にやって来る。
 そこで革命のことなんか全く頭にない大家族持ちで純粋欲求動物の様な親父盗賊ファン (スタイガー)と知り合う。
 ファンはジョンの持っている大量のダイナマイトに目を付けて、巨大銀行を襲う為にジョンを 仲間にしたいと目論む。
 そうした生きて来た経緯も目的も全く違う男二人が出会い、革命という時代背景の中で翻弄 され、やがて友情を育んで……みたいな内容です。

 オレは出身校に出来たミニシアターでコレと同じくレオーネの「ウェスタン」と二本立てを観せ てくれたら死んでもいいと言ってるんだけれど、なかなかかけてくれないんだよなぁ……。



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