「続・夕陽のガンマン」
「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」と続く御存じクリント・イーストウッドの
出世マカロニシリーズ第三弾!
超低予算だったけどクロサワ「用心棒」をパクって大ヒットした「荒野の用心棒」。
コンビ役にリーバン・クリーフを起用しスケールもアップした「夕陽のガンマン」(最高傑作)。
それに続く本作は前二作とは比べ物にならないくらいの大スケールで、いつもの様な
ワル同士の金の奪い合いに南北戦争が絡み、時として一大モブシーンを展開する。
本作の原題は「良い奴・悪い奴・醜い奴」と言った様な意味で、良い奴イーストウッド。悪い
奴リーバン・クリーフ。醜い奴イーライ・ウォラック。が三者三様の個性を発揮して三つ巴の
大金強奪線を展開して行く。
そりゃもう毎度イーストウッドのクールなガンマンとモリコーネの哀愁あるカッコ良い
テーマが流れるだけでゴキゲンなんだけど、本作は金が掛かってる分上映時間も
長くなって(何と完全版の本作は180分!)ちょっと間延びした印象は拭えなかったかな。
それも一番金が掛かってる南北戦争のシーンがみんないらない気がした。
監督のセルジオ・レオーネの意図としては、無益な戦争なんかオイラたちにゃ関わり
ないぜ〜と、随所にひとりで死に行く若い兵隊とか、山になってる死体の片付けを手伝
うフリをする場面とか、金の隠し場所が遥かに広がる兵士たちの墓場だったりとか、暗
に戦争批判的な描写が出てきて情緒を喚起されるんだけど、やっぱり本筋の展開には
絡まないから〜どうしても蛇足な印象なってしまうよねぇ。
とは言えリーバン・クリーフのワル振りもイーライ・ウォラックの間抜け振りも楽しかったし、
シリーズお約束の趣向を凝らしたラストの決闘は、今回は墓場で三人で向き合っての "三
角対決" になる(その結果がまたケッサク)。
セルジオ・レオーネは本作の次にかのアメリカンマカロニ大作「ウェスタン」が来て、ク
ールなヒーローの痛快娯楽は影を潜め、壮大な男たちの狂おしい詩劇が展開して行く。
そうそう、レオーネは当初「ウェスタン」の冒頭でチャールズ・ブロンソンに撃ち殺される三人
のコートの男達に、本作のイーストウッドとクリーフとウォラックを使いたかったんだとか、でも
イーストウッドだけが了承せず! 実現しなかったらしいですね。
まぁイーストウッド兄貴としちゃあ 「オレはそんな無様な姿を見せる訳にゃいかないぜ」 って
なとこなんですかね、まぁそれでこそ後のダーティーハリーも生まれて来たのかもしれません
けれど。
ん〜で何十年もタフガイ・ヒーローを演じて散々悪い奴撃ち殺しといて、最後は自分だけ気持ち
良く蜂の巣にされて(「グラン・トリノ」)んだから〜自分の美学貫き過ぎでしょ。