表紙写真 筆者の体験を通して日債銀破綻の原罪を問う小説である。上巻に尾上縫事件、下巻に金丸脱税事件が詳述されている。
時はまさにバブルの真っ最中。貸出拡大を煽る経営トップ。個人企画部長になった主人公にもワリシン販売増強のプレッシャーがかかる。そんな中で大阪支店の営業部長が”浪花の女帝”と呼ばれていた料亭の女将、尾上縫に食い込み、巨額のワリシンを売り上げていた。
筆名    田代恭介
発行年  1999年
発行    東銀座出版社
       〒171-0014  豊島区池袋3−51−5 B101
       TEL 03-6256-8918 
       46判並製 320頁
定価   1500円(消費税込み) 

上巻あらすじ

プロローグ

最高経営会議で貸出拡大を煽る経営トップ。日債銀破綻の原罪はまさにここにあった

1章 頭取叱責

頭取に売上不振を叱責される個人企画部長武田。背景には銀行間の厳しい債券拡大競争があった

2章 料亭の女将

巨額の割引債を購入する料亭の女将、尾上縫。どのようにして銀行は詐欺事件に巻き込まれていったのか

下巻あらすじ

3章 崩壊の序曲

日銀考査で突きつけられた不良債権額に愕然とする行員。相次ぐ信用不安報道に割引債の流出が止まらない

4章 ドンの逮捕

特捜検事の突然の来訪。捜査対象者は前自民党副総裁金丸信だった。巨額脱税事件の経緯が今明らかにされる

5章 封印された過去

国会に呼ばれた頭取。日債銀の暗い過去を清算する最後のチャンスだったが、銀行にその勇気はなかった

 本書の紹介記事、書評等
日債銀の闇 赤裸々に バブル期の幹部の考え 発言など小説風に著す 大阪の料亭を舞台にした尾上縫事件、金丸信元副総理(故人)をめぐる脱税事件の真相など、日債銀が抱えた闇の部分を赤裸々につづっている(1999.5.20 東京新聞)
これが銀行破たんの真相 バブル期、過剰な不動産融資生々しく(1999.5.30 大阪新聞)
33年間勤めた行員の自責の念 大阪の料亭おかみ・尾上縫事件は、バブル期にあり余る資金の貸し出しを競った金融機関の狂奔ぶりをうかがわせます(1999.6.28 しんぶん赤旗)
破たん銀行幹部 愛惜の念ペンに込め 「内幕本」続々出版 (1999.8.1 毎日新聞)
金丸が脱税したカネを隠していたのも日債銀の金融債「ワリシン」を無記名で買ってだった。そのカラクリは、元幹部行員の田代恭介の「日債銀破綻の原罪」に詳しい(「佐高信の政経外科」毎日新聞社刊)
「これ以上貸し込み避けるべきでは」 諫言の勇気なく小説に悔恨込め(2000.6.19 日本経済新聞)
日債銀は、銀行としては不良銀行であった。しかし、そこに勤務する大勢の一般行員は、どこにでもいる普通の善良な人々なのであろうということを再認識した(Monk's Web Page読書記録)

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