2004.05.28○レサよ永遠に
ときに西暦2200年。
これは,○レサの愛とひたむきさによって
再び生命と未来を与えられた,ある戦士たちの物語である。
プロローグ
多大な…あまりにも多大な犠牲を払い,彗星帝国,都市帝国を打ち破った戦士たち。彼らを待っていたのは…絶望という強大な「力」であった。
「力」は,こう言い放つ。『破壊と再創造のみが,この世界の繁栄を保つ唯一の方法なのだ。破壊と喪失を嘆くのみの者よ,さあ,この場で滅び去るがいい!』と…。
戦士たちの誇り…マザーシップは,強大な力に容赦なく陵辱されていく。彼らの命は風前の灯であった。
しかし,彼らの脳裏には,愛する母星を,この船を…そして,信じた未来を守り抜くために散っていった者たちの姿が,常に焼き付いているのだった。
そして…この男・しいめも…
戦いで宇宙に散った…かに見えた。
○レザリアムにて
「○レザリアム」。
戦士たちと同じ戦いで,ふるさと・○レザート星を
失った女・○レサが暮らす宇宙船である。
死んだはずのしいめが,ここに。彼は,○レサに助けられていたのだった。しかし,○レサの懸命な看護もむなしく,彼の意識は戻らぬままだった…。
『しいめさん…まだ足りないの…わたしがこの世界に居てあげられるのは,あとほんのわずか…』
『だから…あげるわ…あなたの瞳がもう一度開いて,わたしを見てくれるのなら…』
『…!?』
『…お願い…わたしの命は尽きてもいい…もう一度…もう一度だけ…』
『見て,しいめさん!』
『しいめさん…あなたの星よ…あなたの船よ…』
『…もし命を助けられたとしても,それだけではしいめさんは幸せにはならない…!』
『行かなければ…!!』
その頃,母船では…
相原『ちきしょう…死んで…死んでたまるか!!』
古代『…先生!生存者を全員救命艇へ。退艦です。』
佐渡『うむ。…で,お前は?』
古代『…もちろん…退艦します…』
森:『…!!』
真田を救命艇まで担ぐ古代。
真田『…なぁ古代,俺たちは,かつての敵たちを見習うべきかも知れんぞ。』
真田『この攻撃で,我々のふるさとは,星としての機能を失うまでに破壊されてしまうかも知れん。だが…彼らは,同じ境遇に立っても,それでも生きて,生き抜いて,新しいふるさとを見つけるべく戦っているんだから。』
古代『…ええ…我々も,生きましょう…真田さん…』
古代『先生…先生には,長い間本当にお世話になりましたよね…』
佐渡『何をこんなところで水臭い!』
古代『…』
佐渡『…なぁ,古代…生きような!』
『…古代!?』
生きることと死ぬこと
艦長…ぼくは…どうすればいいのでしょうか…。
この悲惨な状況を少しでも変えることができたとしたら…ぼくは喜んで,この命を…。
艦長…あなたの「生きて,生きて,生き抜け!」という教えに背くことになってしまいますが,お許しください…。
この船をミサイルと化し,あの巨大な敵戦艦へ体当たりする…これしかありません…。
これが,ぼくにできる,たったひとつのつぐないなのです…。
…!?
森『古代くん…あなたなら,きっとそうすると思っていたわ…。』
古代『…』
森『もし,わたしもふるさとも助かったとしても,そこにあなたがいなければ,何の意味もないわ…わたしたち,ずっといっしょだ,って言ったじゃないの…。』
森『わたしたち…結婚式も…お預けだった…のよ…』
…かくして,戦場に巣喰う死神に魅入られ,玉砕を決意した古代と,それに最後まで添い遂げる森の2名を載せ,母船は最期の航海に旅立とうとしていた。
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『…発進します!』
生き抜くこと
向きは違っても,ふるさとへの思いは同じ。
生き抜く辛さを選ぶ者。
そして…命の終わりを覚悟する者…。
古代『…あれは…!?』
森『…まさか…!?』
『○レザリアム!!』
○レサ『古代さん…森さん…しいめさんをお返しに参りました…』
『わたしには,もうこれ以上しいめさんを助けて差し上げることができません…』
古代『○レサ!しかし…。』
○レサ『あとは…あとは,みなさんの許で…いまからそちらに参ります…。』
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エピローグ
古代『しいめ…』
森『しいめくん…』
○レサ『…確かにお返しいたしました…』
古代『○レサ…しかし…われわれは,もう故郷に戻ることはできないのですよ…』
○レサ『…この戦いには,わたしが参ります!』
古代『いけない,○レサ!あなたは,これまで十分過ぎるほど,われわれに尽くしてくださった…その上…。』
○レサ『いいえ…わたしは,この世界から去ることになっても,死ぬことはありません。だって,しいめさんの中には,わたしの血が流れているんですから…。わたしは,しいめさんと共に生き続けることができるのです…』
『そのためにも…古代さん,森さん…生きてください…わたしは,新しい世界から,みなさんを見守っています…』
覚えていてください…。
死ぬことより,生き続ける方が,
ときには辛いことの多いことを…
そして,それでも勇気を持って
生き続けてください…
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わたしは,生き続けるみなさんを
見守り続けます…。
登場人物,とくに大帝を誰になぞらえるかによって,このネタの解釈はいろいろに別れると思います。なので,エピローグの続き=○レサが大帝に特攻をしかけて差し違えるシーンは,あえてネタとして取り上げるのを止めました。
そんなことより。ぼくが一番書きたかったのは,『降りることより続けることの方が辛い』…ということ。これは,メンバーにしたって,ファンにしたって同じこと。一方で,続けていなければ出会えない楽しみというのもあるわけでして。みきてぃを含めた,娘。6期生たちを見る楽しみにしたって,そうだったはず。
そして…伏せ字には…本来なら「テ」が入りますが…5月28日は,そういう日=ミカ誕祭ですから(^^;。このねたを思いつくきっかけとなった「スポニチ」の連載記事(文中で,ミドルネームに,「タレーサ」ではなく「テレサ」と仮名を当てていたのです!)と…いまはもう日本にいない○レサ=ミカちゃんに,感謝を込めて。
元ネタは,「宇宙戦艦ヤマト2」の最終回です。ほぼ30代以上限定ネタかと思いますので(^^;,念のため。ちなみに,この「白色彗星帝国編」は,映画「さらば宇宙戦艦ヤマト〜愛の戦士たち〜」と,連続テレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト2」とで,エピローグがかなり異なっています。前者は「そして誰もいなくなった」的な,全員玉砕モノで,後者は,このネタの通り,主人公は生き延びる設定になっています。