75MM ASSAULT GUN 製作記 3


つい先日、心待ちにしていた本「平野”フィギュア・マイスター”義高の仕事」(大日本絵画刊)を入手しました。
3000円という価格から想像してたボリュームと大分ギャップがあって買うのを躊躇してしまいましたが、 中身を見てるうちにやっぱり欲しくなって購入。
すごいよなぁ、この圧倒的な作りこみ、密度感、演出力。
記事によれば平野氏は私と同い年とのこと、私もいつかあんな作品を作ってみたいものです(ミニスケで)。

塗装前の状態。
覚悟してたとはいえ、履帯をつけるといきなりおもちゃっぽい(悲)。

履帯は長さが足りなかったので連結のボスを削り落として約1リンク分伸ばした状態でホチキスの針で連結。
最初所定位置で連結して引っ張って伸ばそうとしたら切れてしまったのですよ。トホホ
つなぎ目は後で泥でもつめて誤魔化すしかありませんネ。

それでも相当なテンションで第6転輪(最後尾)のシャフトがひん曲がってしまったので 反対側につっかえのプラ板を入れて補強しました。
ストレスがもろに掛かる起動輪、誘導輪、第1、6転輪はとにかくガッチリ組むことをおすすめします。
嵌めるとき履帯をドライヤーで温めてやると多少伸びてくれます。

垂れ下がりは最初ピアノ線でやろうとしたんだけど全然ダメで車体上下を貼りあわせた後、フェンダーとの 隙間に1mmプラ板の細切りを差し込んで表現。
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車体後部の装甲板はキットでは単純な屈曲した面ですが実際はこんな風に段になってます。
省略されてる尖頭ボルトを伸ばしランナーで、クランク穴のふたは日東のキットのモールドを型取りして 楽をしました。

荷物ラックは金属板、プラ板などを試してみて結局ハガキの紙に落ち着きました。
(写真に表れないところでいろいろ苦労しておるのですよ・・)
紙どうしは木工ボンドで、紙とプラはまず紙に瞬接をしみこませてから再度瞬接で接着。
組み上がったら紙全体に瞬接をしみこませて固めます。
軽く触っても壊れない程度の強度にはなりました。

銀紙のせいで写真が見にくくてスイマセン。
戦闘室背面のベンチレーターカバーは車体中央に接着するようになってますが 実際は少し右寄り(砲身の延長線上?)が正しいようです。
薄く削って支柱(X6)を伸ばしランナーで再現。
車長用ハッチの裏側も「アハト」を参考にディティールアップ。
このワイヤーを曲げるのに1時間かかってしまいました。

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車体吊り下げ用フックの工作。
こういうのは意外に簡単。
プラ板の細切りに穴を開けて、
外形を整形、切り離しは最後に。

完成部品です。
スケールの1目盛りは0.5mm。
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古いキットの常でOVM類が省略されてるので、できる範囲で自作してみました。
代表でスコップの製作手順をご紹介します。
プラ材をざっくりと切り出して5mmプラ棒に接着。
削りこんでそれらしい形に整形。
止め具は0.5mmプラ板のうす切り、柄の先端の丸みは瞬接で再現。
最後にプラ棒から慎重にそぎ落として完成。
バールは0.3mmと0.5mmプラ板の細切りをついで作ってます(苦)。
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ジャッキはフジミのキングタイガーの余りをもってきました。
遊びで田の字モールドを再現。
ヘルメットはプライザー、シュルツェンステーは0.1mm銅板から。

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とまあこんな調子で作ってるわけです。

実は正確な模型を作ること自体にはあんまり関心はなくて、 「効果的な作り方を考え、試してみる」ことが好きなんです。
矛盾してるようですが微妙にちがうんですねえ。
寝る前に資料とキットを見比べて作り方をあれこれ考えながら眠りに落ちるのが 好きなんですが、いいアイデアがひらめくとそれを実践するために製作に掛かる、 というパターンが多いです。
今回でいうとワッフルパターンのコーティングがそれ。
(まだ塗装してないんで効果の程はよくわかりませんが)

履帯なんかも見栄えを優先するなら他キットから流用すべきでしょうけど それは見栄えがよくなるだけで工作としてはそんなに面白くなさそうだし、 あの履帯をどうやってそれらしく見せるか、ていう方に模型製作の醍醐味を感じるわけです。

「塗装篇」「ビネット篇」もやろうかと思ったのですが同じネタであんまり引っ張るのもなんなんで それはまた題材を改めて解説したいと思います。
お楽しみに。

さて、これを書いてる時点で2003年もあと2時間を残すのみとなりました。
9月のサイト開設以来、訪問いただいた沢山の方々に心からお礼を申し上げます。
来年もミニスケ大作戦をごひいきに。


(2003,12)



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