酸ヶ湯温泉からスキー担いで八甲田山へ
(1974年5月)
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八甲田山 |
酸ヶ湯温泉に泊まってスキー
五月の連休にスキー仲間と八甲田山に出かけた。羽越線経由の夜行列車に乗った。朝、目覚めると鳥海山が朝日を浴びて神々しいまでに輝いていた.
弘前付近では岩木山が見えた。
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車窓より岩木山 |
青森駅に着き、バスで酸ヶ湯温泉に向かった。市内に雪は積もっていなかったが八甲田山麓を登り始めると雪が多くなり、道路の両側はバスの高さほどの雪の壁になっていた。
酸ヶ湯温泉は人里離れた標高900メートルにある温泉だった。自炊客用の建物もある大きな旅館だった。
その日は旅館の向かいの斜面でスキーをした。リフトはないから歩いて登り、スキーを履いて滑るという昔ながらのスキーである。
翌日はバスでロープウェイ山麓駅まで行って、ロープウェイに乗った。山頂駅で降りると真冬のような寒さで一瞬たじろいだ。田茂萢岳山頂はすぐ近くだ。薄もやの中に八甲田連峰最高峰の大岳も見えた。
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ロープウェイ山頂駅の案内板 |
田茂萢岳 |
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八甲田山 |
八甲田山 |
スキーを履いて山麓駅に向かって滑走開始。アオモリトドマツの樹林帯を右に左にコースを見付けて気持ち良く滑った。最後の方はさすがに雪も重くなってきたが、この時期にこれだけの雪質なのはさすがである。
二回滑って、三回目は酸ヶ湯温泉まで滑って降りることにした。シュプールが残っているので辿って行けば迷うことはないが、滑るのに夢中になっているとあらぬ方向に行ってしまうこともあるので慎重に滑る必要がある。久し振りに原野の中を滑り、酸ヶ湯温泉まで下りた。
三日目は宿の企画の大岳ツアーに参加することにした。
宿の裏手からほとんど雪に埋もれた鳥居の横をスキーを担いで登り始めた。適当に雪が締まっていて歩きやすかったので総勢20名ほどの列は快調に斜面を登ってゆく。地元のガイドが先導しているので安心して付いて行く。無雪期であれば美しい仙人岱湿原が広がっている辺りだろう。二時間ほど登っていくと次第に霧が深くなってきた。ガイドは視界が悪くなってきたのでこれ以上進むのは危険と判断し、引き返すとなった。
視界は20メートルもなく、ガイドは視界の範囲で停まっては人数を確認し慎重に下っていった。
高度が下がるとガスは消えた。後は大雪原に自由にシュプールを刻んであっという間に酸ヶ湯温泉に着いた。
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雪に埋まった鳥居 |
大岳に向かって登高開始 |
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スキー担いで |
スキーの後の温泉は格別だ。「千人風呂」といわれるヒバ造りの大浴場に身を沈めるとまことに気持がいい。天井も高く左側の壁際には滝のように湯が落ちてくる打たせ湯があった。混浴だが我々の仲間の女性は女性専用浴室に行ったようだ。「千人風呂」は湯煙がもうもうと立ちこめていてそれほど視線を気にすることもないので女性も利用したらよかろう。
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