グライダーの舞う霧ヶ峰をハイキング
(1980年8月)
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車山登山口 |
車山と八島ケ原湿原をハイキング
夏休みに霧ヶ峰に1泊旅行することにした。毎年夏休みはカミさんが子どもたちを連れて実家に里帰りするので私はこれ幸いと山に出かけていた。だがたまには家族サービスもしなければなるまいと子どもたちをハイキングに連れて行くことにした。長女は6歳、長男は4歳になり軽いハイキング程度なら大丈夫だろうと思った。家族サービスで百名山を一つ消化できるのは我ながらグッドアイデアである。
1日目、早朝自宅をマイカーで出発し、中央高速の諏訪ICから大門街道を通って車山高原の駐車場に着いた。ここから霧ヶ峰の最高峰車山の山頂に向かった。夏場でもスキーリフトが動いていたので利用することにした。リフトの終点から少し登って石だらけの広い山頂に着いた。八ヶ岳が間近に見えた。三角点は確認したが正直にいって山に登ったという感激はなかった。
3時には車山高原にあるペンションにチェックインした。ペンションを利用するのは初めてだったが、子どもたちはベッドが珍しいのか飛んだり撥ねたり大喜びだった。
翌日は八島ケ原湿原を一周した。八島ケ池や鎌ケ池はあったがほとんどが乾いた草原で、池塘が点在する高層湿原のような涼やかさはないが、広々とした開放感はなかなかである。湿原を回るコースは人も少なく、子どもたちは昆虫を探したり走り回ったりして賑やかにしていた。前日登った車山も手に取るように見えた。
それからグライダーの発着場を見に行った。ウィンチに引っぱられて滑走し始めたグライダーが音もなく空に上がってゆく。のんびりと空を漂う機影を追いながら空から地上を眺めている操縦者は気持いいだろうなと思う。
深田久弥は霧ヶ峰を「登る山」ではなく、「歌でもうたいながら気ままに歩く。……気持のいい場所があれば寝ころんで雲を眺め、わざと脇道へ入って迷ったりもする」「遊ぶ山」だという。「登る山」でないことは確かであるが、車山はすっかり観光地化して人が溢れ、寝転んで雲を眺めるどころではない。僅かに八島ケ原湿原などに当時の面影が残っているのみである。
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八島ケ原湿原入口 |
八島ケ原湿原 |
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ペンションの庭より八ヶ岳方面 |
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