見かけによらずハードな男体山

(1989年8月)

 
男体山
金精峠より男体山(撮影1988年)

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二度目の挑戦で登頂

1989年8月26日(土) 自宅 5:15 → 8:30 中宮祠 8:50 → 9:20 3合目 → 9:43 4合目 → 10:45 7合目 → 11:55 男体山頂 12:30 → 13:50 4合目 → 14:35 駐車場 15:00 → 20:00 自宅
 男体山に最初に挑戦したのは昨年の5月4日だった。長男を連れて二荒山神社中宮祠から登ろうとしたら神社の門が閉まっていた。開山は5月5日からという掲示があった。たった1日違いなのでがっかりした。そのまま帰るのもしゃくなので奧白根山に目標を変更し、金精トンネル入口駐車場から金精峠に登り、そこから1時間ほど歩いていると残雪が出てきた。斜面のトラバースがあり、息子が滑落する危険性があったので引き返すことにした。アイゼンもピッケルも持参しなかったことを反省した。5月初旬の日光でこんなに雪が残っているとは思わなかった。
 8月の下旬、男体山に再チャレンジすることにした。今回は単独行である。いろは坂で30分ほど渋滞したがまずまず順調に二荒山神社中宮祠の駐車場に到着した。登山靴に履き替え、神社の社務所で登拝料を支払う。今までお金を払って山に登ったことはないが、男体山は神社の私有地のようであるから勝手にはいってはいけないということなのだろう。反対側の志津小屋から登ればタダなのかなと思った。まあ、登山道を整備する費用に充てられるのなら文句はいえない。
 登拝門から石の階段を登り始める。初めは神社の境内のような杉木立の中を登ってゆく。木の根の這うしっとりとした山道は気持がいい。遥拝所があり板状の石に「一合目」と刻まれている。それから1合目ごとに石の標識があるのでよい目安となる。最大傾斜線にそってまっすぐに続く道はかなりの急傾斜だ。3合目で林道にぶつかりしばらく緩やかな林道歩きで息を整える。
 4合目で小憩し、鳥居を潜って山道に戻る。左側の陰惨な感じのガレ場を避けて、ゴツゴツした岩の道をしゃにむに登り、さらに赤茶けた砂礫のザクザクした道を喘登する。遠目にみる穏やかな山容とは大違いで男体山はまさに火山であった。
 7合目で休憩を取り、息を継ぐ間もない急登を続け、8合目の避難小屋を過ぎ、9合目からはほぼ森林限界を超え、荒々しい黒い溶岩と赤茶けた岩、風化した赤茶の砂礫の道が続く。最後は幾分緩やかになり鳥居を潜って山頂に出た。山頂は広く、二荒山神社の奥宮や二荒山大神の大きな像などがあり信仰の山であることが分かる。山頂に人は少なく、たまたま近くにいた中年男性に写真を撮ってくれと頼まれ、ついでに私の写真も撮ってもらった。少しガスっていて楽しみにしていた山は見えなかった。取分け大学1年のときの夏合宿で日光から男体山中腹の志津小屋を経由して大真名子山、小真名子山に登って、はるばる南会津の田代山まで歩いた道筋を見たかった。また何度も通った尾瀬の燧岳や至仏山、それに真向かいにある奧白根山さえ見えなかったのは残念だった。
 それにしても思いのほかハードな山だった。昨年、中禅寺湖畔から見た男体山はまるで箱庭のような美しさだった。全山緑に覆われた円錐形の山はとても標高2500メートル近い高山とは見えず、中禅寺湖からほんの一投足で登れそうに思えた。だがそれは全くの錯覚でひたすら荒々しい急斜面が続く野伏のような山だった。
男体三角点 山頂にて
男体山三角点 山頂にて

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