浅間山は活火山、黒斑山と前掛山に登る

(1995年5月、2014年6月)

浅間山 浅間山山頂
黒斑山より浅間山を望む(1995年5月) 浅間山(前掛山)(2014年6月)

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噴火警戒レベル2で外輪山の黒斑山へ

(1995年5月)

浅間山は入山規制中で外輪山の黒斑山へ

5月20日(土) 自宅 5:00 → 10:30 車坂峠 → 11:40 トーミの頭 → 12:00 黒斑山 12:30 → 13:40 車坂峠 → 15:00 軽井沢プリンスホテル
 取引先主宰のゴルフ会が日曜日に軽井沢で行われることになり、前日5時迄に各自軽井沢プリンスホテルにチェックインすることになっていた。私はその前に浅間山に登ることにした。当時、浅間山は火山活動が活発で入山規制により本峰には登れなかったので、百名山ハンターは外輪山の最高峰、黒斑山に登って代用するしかなかった。
 土曜日の早朝自宅を出発、信越自動車道の軽井沢ICより、車坂峠に登って駐車場に車を駐めた。周辺は多くのハイカーで賑わっていた。
 さっそく歩き出し小1時間で赤ゾレの頭に出た。カマボコ型のシェルターが2つ並んでいる。浅間山が噴火し火山弾が飛んできた時これで助かるのかなと思った。右側が切れ落ちている外輪山の尾根に出て狭い道を登る。浅間山の本峰が実に大きく見える。残雪の残る尾根道をちょっと下って上り返すとトーミの頭で、その先に中高年グループの長い列がゆっくり歩いていた。先頭を行く白髪の男性の後に女性陣が続いている。いずれもニッカポッカの正統派山姿であるが、道を譲る気配はない。諦めて少し間を置いて後を追う。20分ほどチンタラ登ると黒斑山に到着した。15名位の登山者が先着していた。握り飯を食べながら浅間山を鑑賞した。灰褐色の山体はずんぐりして素朴な農夫の趣があった。浅間山は遠くからもよく見える山だった。どこから見ても山頂から棚引く噴煙が見えたから一目瞭然であった。しかし今は白い霧状の噴煙が少し立ち上っているだけだった。黒斑山は浅間山を見るにはかぶり付きの特等席のような所だったが、やはり本峰を眺めているとあの頂点に登ってみたいという思いが強くなった。
黒斑山山頂 浅間山を望む
黒斑山山頂標識 浅間山を望む

噴火警戒レベル1で浅間山本峰の前掛山へ

(2014年6月)

懐かしの池の平を散策

6月2日(月) 自宅 7:00 → 7:55 O君宅 → 11:50 池の平駐車場 → 雲上の丘 → 見晴台 → 三方ケ峰 → 池の平湿原 → 14:20 池の平駐車場 → 15:00 浅間山荘天狗温泉
 浅間山の噴火警戒レベルが1に引き下げられ本峰の前掛山まで登れるようになったので、ワンゲル同期のO君と浅間山に登ることにした。日帰りもできないことはないだろうが歳なりに無理をせず浅間山麓の天狗温泉で1泊してのんびり登ろうということになった。ついでにワンゲルにはいって初めての春合宿でキャンプを張った池の平に行ってみることにした。(本ホームページ「懐かしの山旅」―「上信国境三方ケ峰池の平」参照)
 6月初旬、7時に自宅を出てO君宅に寄ってから関越道、信越道を経由して昼前に車坂峠に着いた。53年前の5月初旬、夜行列車で夜明け前の小諸に着き、チャーターバスで登った峠である。何もない所で寒風が吹き荒んでいた。半世紀経った今は立派な観光地になっている。未舗装だが池の平方面に道が続いていた。砂利道を走ってゆくと程なく池の平駐車場に着いた。山靴に履き替え、サブザックを背負って池の平の外輪山を歩く「見晴歩道」を登り始めた。山桜が満開だった。左手の池の平の広い草原をチラチラ眺めながら「雲上の丘」広場に着いた。見晴らしがいいので昼食にした。少しもやっているが、妙高、火打、槍穂、乗鞍、御岳、八ヶ岳まで見えた。間近に四阿山も見えた。次に標高2040Mの三方ケ峰に向かった。ハイキング程度の楽な登りだった。ちょうど池の平を半周した辺りだった。そこから池の平に向かって15分ほど下って池の平の南端に立った。木道が交差していて左に鏡池への木道があった。端まで行って鏡池を見物した。私の記憶ではこの池の畔にテントを張ったのだが大分様子が違う感じがした。何となく釈然としない気持で引き返した。池の平湿原の周遊木道を歩いているとイワカガミやハクサンイチゲが咲いていた。最後に湿原の真ん中を突っ切って、湿原の北端から駐車場に向かって登った。
 センチメンタルジャーニーは終わったが、釈然としなかった最大の理由は池の平が「湿原」とされていることだった。しかしその「湿原」に私たちは確かにテントを張っていたのだ。乾いた草地で素晴らしいキャンプサイトだった。池の平は湿原ではなかったと思う。木道から見た限りでは何ともいえないが、少なくとも池塘が点在する尾瀬ヶ原のような湿原でないことは明らかだった。50年前は知る人ぞ知るパラダイスだったが、今は車で多くのハイカーがやってくる。自然保護のために木道の上しか歩けないのは仕方がないことだろう。
 車に乗って車坂峠からちょっと下って、浅間山麓の天狗温泉に向かう未舗装の道にはいり、ほどなく木造のしゃれた宿に着いた。
 さっそく宿泊者用の浴室に行くと、トマトジュースのような色をした温泉が湯船に溢れていた。血の色といってもいいだろう。湯に身体を沈めると伸ばした手も足も見えない。鉄分などの成分が濃いのだろう。こんな色をした温泉は初めてだった。苗場に「赤湯温泉」があったが、実際は茶色だった。ここの温泉こそまさに赤湯だった。ぬるめの湯で長湯をしてものぼせる心配はない。山中の宿としては珍しく温水洗浄トイレ付きの清潔な宿だった。
 夕食は山菜料理がたっぷり出され、洋風のオードブル、グラタンも美味かった。
池の平1 池の平2
見晴歩道より池の平を望む 池の平

浅間山頂は砂漠のように荒涼とした無辺世界

6月3日(火) 浅間山荘 5:00 → 5:30 一の鳥居 → 5:52 二ノ鳥居 → 5:58 休憩 → 6:55 火山館 → 8:36 浅間山(前掛山) 8:50 → 10:00 火山館 → 11:20 浅間山荘 12:30 → 15:20 O君宅 → 16:00 自宅 
 5時出発。まずまずの天気である。しばらく林道を歩き、やがて沢沿いの山道になる。1ピッチ目に朝食弁当の握り飯を食べる。沢を詰めて湯の平の入口にある火山館に着いた。空身同然なのでコースタイムに負けないようにペースを上げてカラマツ林と笹原が美しい湯の平を歩いた。左側に黒斑山から蛇骨岳に続くカルデラ壁が続いている。荒々しい壁面はなかなかの景観だ。やがて浅間山本体ドームの裾に着いた。大きな山体に幅の広い道が左斜めに直線的に上っている。気をいれて登り始める。次第に小灌木が消えて一面の砂礫となった。斜度はそれほどでもないので緩みなく登ってゆくと肩に出た。右に方向を変え火口丘を登ってゆくと左側に巨大な火口が現れ、凄絶な柱状節理のカルデラ壁が見えた。登山道は火口の縁より少し離れた安全な所を通っているので膨大な噴火口の全貌を覗くことはできない。間もなくコースタイムより早く標高2493Mの前掛山に着いた。砂礫の中に山頂標識柱だけが立っている殺風景な山頂だった。浅間山の最高点(2568M)はさらに外輪を回った先にある。硫黄臭もなく、噴煙の音も聞こえてこないので行けそうな気もしたが、立入禁止なので当然諦めた。
 腰を下ろして甘味品を口にいれる。残念ながら昨日のような眺望は得られなかったので15分休んだだけで下山した。火山館で休憩し、沢沿いの樹林帯にはいると黄色と紫の小さな花が咲き乱れていた。シロヤシオや山ツツジが色を添えている。鳥の鳴き声が聞こえてきた。同じ音程で抑揚なく鳴き続けている。何という鳥の鳴き声かなと木の枝を探すが見当たらない。どうも鳥のさえずりとは違うようだと気付いた。今や耳を聾するような大音量である。もしかしたらセミかなと思った。6月初旬にセミが鳴くかなと思ったが、「春ゼミ」なら今の時期でも鳴くだろうと思った。それにしても何百、何千というセミが鳴いているようでまったく凄いものであった。11時20分に浅間山荘に戻った。
 下山後に温泉にはいり手打ち蕎麦の昼食が付くというコースを申し込んでいたので、さっそく温泉にはいった。立ち寄り客用の浴室は1階にあった。窓から差し込む光線のせいか昨日はいった浴槽のように赤くは見えない褐色の湯にどっぷり浸かり、着替えをしてさっぱりした。手打ち蕎麦の味は格別だった。宿の主人に「随分早く帰ってきましたね」と感心されて気分をよくした。車を運転しなければならないのでビールを飲めないのが残念だった。
浅間山噴火口 黒斑山
浅間山噴火口を覗く 湯の平より黒斑山を見上げる

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