北海道縦断 十勝岳、利尻岳、大雪山、羊蹄山

(1998年7月)

十勝岳避難小屋 利尻岳
十勝岳(十勝岳避難小屋) 利尻岳山頂
旭岳山頂 羊蹄山
大雪山旭岳山頂 羊蹄山山頂

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退職記念の北海道旅行

 私は6月末にサラリーマンを卒業した。時間が自由になったのでマイカーで北海道の山を回ろうと思った。Kさんが北海道の山に登りたいといってきたので私の計画を話すと、Kさんは3日間なら休みが取れるということだった。そこで私は一人で北海道に渡り十勝岳に登り、Kさんには稚内空港に来てもらって合流し、利尻岳に登り、稚内空港まで送る。同時に妻に稚内空港に来てもらい、大雪山と羊蹄山に登ることにした。宿泊先は私が選んで予約した。フェリーの予約はフェリー会社の役員をしている銀行の先輩にお願いした。

大洗からフェリーで苫小牧へ

7月1日(水) 自宅 18:30 → 22:00 大洗フェリーターミナル 23:59 →  
7月2日(木) 20:00 苫小牧 → 20:40 苫小牧 ホテル於久仁
 妻に見送られ一足先にマイカーで自宅を出発した。まだ十分明るい都内を抜け、大きな渋滞もなく午後10時に大洗のフェリーターミナルに着いた。乗船手続きをして「さんふらわ」が着岸している埠頭の待機場所で乗船を待った。12,000トンの「さんふらわ」号は長さ186Mで相当大きい。乗船時間となり係員の指示に従い車両乗船口より船内へ。車両デッキからプロムナードデッキに上がり、案内所で部屋の鍵を受け取り、Aデッキの船首にある部屋に落ち着いた。出港は23時59分で、汽笛が鳴ってゆっくりと動き出す。すぐにベッドに潜り込み、窓から外の様子を見ていると、船はしばらく細い水路を進んで沖合に出ると速度を上げた。薄い霧に包まれている。外洋に出てもほとんど揺れはなかったのでホテルに泊まる時と同じくらいには眠れた。翌朝8時にレストランで朝食を取った。単一メニューで1000円だった。昼食は12時で800円だった。レストランにはそこそこの客が集まってきて、トラックの運転手が多かった。サンダル履きでビールを飲んでいる。甲板に出てみたが視界は300M位で陸地は見えない。部屋で本を読んだりテレビを見て時間を過ごした。午後になって雲の間にちらっと青空も見え、視界も2〜3Kmになった。夕食はバイキングでレストランの前に行列ができていたので止めた。予定通り午後8時に苫小牧港に到着した。下船してカーナビに予約したホテルを目的地をセットするのに苦労したが何とかホテル於久仁が見付かりほっとする。もう真っ暗なのでナビがなければ大変だったろう。
 ホテルのレストランで天ぷらうどんと生ビールで遅めの夕食とした。

十勝岳は霧の中

7月3日(金) 苫小牧 5:35 ホテル於久仁 → 9:50 望岳台駐車場 → 10:50 十勝岳避難小屋 → 11:50 稜線に出る → 12:10 霧が深くなったので退却 → 12:45 十勝岳避難小屋 → 13:40 望岳台駐車場 14:15 → 15:30 旭川プリンスホテル
 雨の中を出発。高速道の脇の国道を進み門別経由で富良野へ。途中眠くなりチェーン脱着所で15分仮眠。雨は降り続いている。コンビニでサンドイッチを買って朝食とする。十勝岳の麓のコンビニで登山用にバナナとパンを購入した。最近はコンビニが全国どこにでもあるので便利になった。上富良野から十勝岳温泉に向かう道路は美しい白樺の原野を緩やかに登って行く。吹上温泉経由で望岳台の駐車場に着いた。観光バスで地元の小学生が来ていた。
 登山の支度をして小雨の中を傘を差して出発。冬はスキー場になる緩斜面を真っ直ぐ登る。小学生の団体が長い列を作っている。幅の広い道なのでその脇を登って行く。スキーリフト終点で小学生の団体は引き返すようだった。すぐ上の十勝岳避難小屋にはいって休憩した。中年女性数人のパーティーが休んでいたが、冷たい風雨のため引き返す模様。バナナとアンパンを食べて1人頂上に向かう。小屋から左よりに登って行くと左手に噴煙が噴きだしているのが見えた。前十勝岳の裾を巻くようにザクザクした火山砂礫の道を登って行くと、数人のパーティーが下りてきた。風とガスのために登頂を諦めて引き返してきたという。ちょっと不安になる。結構雨が降っていて視界は10Mから20M位だ。それでもはるばる来たのだからと頂上を目指す。雨具が濡れてきた、風のあたる右手が冷たい。1時間ちょっとで幅の広い尾根に出た。右方向に尾根を登ってゆくと硫黄の臭いが漂ってくる。岩に付けられたペンキの印を頼りに登り続ける。一段と風が強くなってきた。ガスも濃くなる一方だ。一瞬完全に霧に包まれ前後がまったく見えなくなった。心臓がどきっとした。幸い霧の状態は元に戻り10M位は見えるようになった。しかしいつまた霧が濃くなるか分からないので引き返すことにした。辺りは火山礫地で草木はまったくなく、幅の広い尾根は一度道を外したら元に戻れなくなってしまう。無理をして遭難したら後の計画が滅茶苦茶になる。残念だが引き返すことにした。妥当な判断だと思ったが頂上間近で退却するのは無念だった。慎重に道を確かめながら戻り、稜線から左に降り始めてほっとした。気が緩んだのかガレ場で滑って左肘と左の手の平を擦りむいた。踏んだり蹴ったりだ。避難小屋まで戻って戸を開けたが誰もいない。10分休憩して望岳台の駐車場に戻った。未練たらしく振り返ったが十勝岳は雲に隠れてついに姿を見せなかった。
 白金温泉経由で旭川に向かう。途中、薬のディスカウントストアで消毒薬を買い、擦りむいた傷の手当てをした。カーナビのおかげで旭川プリンスホテルには一発で着いた。駐車料込みで6,700円のビジネスホテルで、西武鉄道系のプリンスホテルではなさそうだ。
 夕食は観光ガイドを見てラーメン「青葉」へ行った。スープに独特のコクがあり美味かった。市内をブラブラ散策する。旭川の気温は17度で半袖では寒かった。夕陽が見えたかと思うと霧雨が降る。大雪方面は厚い雲に覆われていた。ちょうど参院選の最中で民主党の候補が街頭演説をしていた。旭川駅は宗谷線、富良野線、函館線、石北線が通る鉄道の要衝だが人通りは少ない。キオスクで缶ビールとつまみを買ってホテルに戻り、テレビを見ながら飲んだ。それからドライヤーで濡れた帽子とシャツを乾かした。
十勝岳
富良野より十勝岳(2006年撮影)

稚内空港でKさんと合流、利尻島に渡る

7月4日(土) 旭川プリンスホテル 6:30 → 11:00 サロベツ原生花園 → 12:05 稚内空港 14:15 → 14:35 稚内フェリーターミナル 15:30 → 17:10 鴛泊港 →  17:30 ペンション「ヘラさんの家」
 今日は稚内空港でKさんと合流し利尻島に渡る。コンビニで握り飯とお茶を買い朝食を取る。深川辺りで雨が降り出した。留萌でガソリンを補給。日本海の海岸沿いに北上する。次第に天気は回復し気持のいいドライブとなった。いかにも北海道らしい真っ直ぐな道が続く。カーナビの音声案内で「50Km先、右方向です」と聞いて驚いた。草原に黒いビニールでロール状に巻かれた牧草が点々としている。手売島、焼尻島は見過ごした。サロベツ原生花園に寄ってみた。長さ27Km,幅5〜8Kmのとんでもなく広い湿原で、山手線内の面積と同じだそうだ。花は例年より遅いようでニッコーキスゲがチラホラ咲いていた。
 稚内はなだらかな丘陵が続く日本では珍しい地形だ。稚内中心部を通り過ぎて右手の丘陵を少し登って稚内空港に着いた。空港のレストランでビーフカレーを食べた。Kさんの到着を待つ間に駐車場で雨具や衣類を干した。到着時間に屋上の展望台でKさんの搭乗機を待っていると、ボーイング機が薄い雲を切り裂いて真上を通過し、沖合で右旋回して着陸した。到着ロビーで待っているとKさんは短パン、サンダル履きで新しいザックを背負って出てきた。
 空港から稚内港のフェリーターミナルに行って乗船した。2等席の後部カーペットに腰を下ろした。途中で甲板に出てみたが利尻岳の上半分は雲に隠れていた。
 鴛泊港に着くと、今宵の宿のペンションが丘の上に見えた。総2階の長い屋根の真ん中にトンガリ屋根の物見窓が継ぎ足されたチューダー様式風の建物だった。明日の食料を近くの店で調達して、ペンション「ヘラさんの家」に向かった。早速風呂にはいった。温泉である。溶岩で設えた野趣溢れる浴槽で、ガラス窓越しに夕焼けの海が見えた。高緯度のため日没は7時20分頃である。ペンションは海に突き出たペシ岬の首根っこにあるので両側に海が見える最高のロケーションだ。
 夕食はツブ貝、もずく、利尻昆布と大根の煮物、メインはメバルの唐揚げだった。メバルは淡泊な味わいで骨まで食べられた。最後にご飯の上にウニを乗せ醤油をかけて食べたが絶品だった。

快晴の利尻岳

7月5日(日) ペンション 4:10 → 4:35 北麓野営場駐車場 → 4:50 甘露泉水 → 5:20 4合目 → 6:07 5合目 → 6:30 6合目 第1見晴台 → 7:45 8合目 長官山 → 8:40 9合目 → 9:05 沓形コース合流点 → 9:35 利尻岳 10:45 → 11:22 9合目 → 11:50 避難小屋 → 12:05 長官山 → 14:30 甘露泉水 → 14:50 駐車場 → 15:20 ペンション 
 4時過ぎにはもう夜が明け始めていた。車に乗って登山口の駐車場に向かう坂道を登って行くと、車道を歩いている登山者が十数名いた。駐車場に車を駐めて、登山開始。甘露泉水までは舗装された道だった。甘露水を水筒に詰める。トドマツ、エゾマツに囲まれた歩きやすい道だ。5合目を過ぎるとダケカンバも大分丈が短くなってきた。6合目で突然展望が開けた。第1展望台だ。眼下に鴛泊港と大海原が広がる。
 だんだん傾斜がきつくなり小灌木の中の段差のある岩の道を攀じ登って行く。8合目の長官山に出ると利尻岳の山頂が見えてきた。しばらくなだらかな尾根を進むと避難小屋があった。右側に赤茶けた崩壊地が見えてくる。9合目からは赤茶けた軽石が詰まったようなザレ道となる。一歩進んでは半歩下がるような非常に体力を消耗する道となった。もろい土がえぐれて深い溝になった道を登り切って、沓形コースと合流し、頂上のように見えていた小ピークを越えて、最後に狭いリッジを登って利尻岳山頂に到達した。日曜日のせいか10名ほど先客がいた。頂上部分は鋭い岩峰が連なり、ローソク岩も見事だった。
 山頂には祠が鎮座している。山名は「利尻山」となっている。「山」でも「岳」でも通用する山は珍しい。東側はガスが多いが海岸線がよく見えた。礼文島も眼下にある。サハリンまでは見えなかった。ラーメンを作り、朝食弁当の残りの握り飯とともに食べる。食後のコーヒーを飲みながら最北端の高嶺に登った喜びをかみしめた。
 帰りは写真を撮りながらチンタラ降りる。さりげなく高山植物が咲いている。ペシ岬と青い海が箱庭のように見える。沖合に大きな客船が停泊していた。海がどんどん近付いてくるが、4合目から甘露泉水迄は長く感じられた。冷たい甘露水をガブガブ飲んで一息つき、針葉樹の深い緑と青い空に慰められながら疲れた足を一生懸命運んだ。
 ペンションに戻り、足が痛くて階段の上り下りに苦労した。温泉にはいって汗を流し、ベランダでビールで乾杯。ペシ岬の海鳥の声を聞きながら北の島ののんびりした時間を過ごした。
利尻岳全景 甘露泉水
利尻岳全景 甘露泉水
利尻岳山頂部 ロウソク岩
利尻岳山頂部 ロウソク岩
高山植物 高山植物
高山植物 高山植物
礼文島 鴛泊港
礼文島 鴛泊港とクルーズ客船

利尻島周遊して稚内へ

7月6日(月) ペンション 8:00 → 島内観光 → 16:00 鴛泊フェリーターミナル → 17:50 稚内フェリーターミナル → 18:15 民宿北乃宿
 朝食前にペシ岬に登ってみる。岬の先端は小高く盛り上がっていて海抜93Mである。難なく登って眺めを楽しむ。ペシ岬の北側の浜辺で小舟が集まり、ウニ漁の開始時間を待っていた。資源保護のため時間制限があるようだ。こんな近くで採れたウニがペンションの食卓に供せられるのだ。
 ペンションに戻ってゆっくりと朝食を取る。宿の美味いコーヒーを飲みながら宿の主人、へらさんとしばし歓談。
 宿を辞して、島内観光に出る。利尻島は屋久島より小さいが、島を一周できるのは似ている。時計回りに一周する。姫沼はきれいな沼だった。オタトマリ沼は観光スポットのようで何台もの観光バスが来ていた。南から次々に雲が流れてきて利尻岳を隠してしまう。御崎公園で土産用に利尻昆布を買う。沓形岬ではハマユウが咲いていた。沓形コースの登山口である見返台園地まで行ってみたが雨が降ってきて何も見えなくなった。夕陽ケ丘展望台は通り過ぎてしまった。そのままペンションの駐車場に戻り、ペンションの近くにある「かのう亭」で遅い昼食を取ることにした。昼飯時を過ぎていたので店は空いていた。名物の利尻ラーメンを注文した。Kさんが店の主人に、稚内に来る飛行機で隣り合わせたFM稚内の社長さんに同級生がやっているこの店を薦められたと話しかけると、主人も喜んでくれた。しばらくして大きなホタテとタラバガニの足一本などがトッピングされたとてつもなく大きな丼が運ばれてきた。社長の紹介ということでサービスしてくれたのだろう。Kさんは社交的で誰とも親しくなるのにはいつも感心する。お蔭でたっぷり具のはいったラーメンで腹一杯になった。
 午後4時のフェリー出航まで漁業組合の海産物店を見て回り、フェリーターミナルのコーヒースタンドで甘露水でいれたコーヒーを飲んだ。綺麗なお姉さんがいれてくれたコーヒーは非常に美味かった。
 フェリーに乗り、後部甲板のベンチの最前列に陣取った。港で手を振って見送ってくれる地元の人々がいた。沖合に出てから去って行く利尻岳を飽きずに眺めていた。利尻岳は利尻富士とも呼ばれているが、富士山のように流麗ではない。ゴツゴツしていて野武士のような趣がある。別に富士に例えなくても利尻岳の価値が失われることはない。北の地で容易に人を寄せ付けぬ孤高の山として無二の存在である。数十羽のカモメがフェリーに付いてくる。1羽、2羽と戻って行ったが、いつまでも付いてくるのが3羽いた。5時50分に稚内に着いた。
 稚内の西海岸にある民宿北乃宿迄は20分程だった。民宿らしい造りであるが温泉があり、浴衣も提供され、食事もボリュームがあった。

稚内空港でKさんを見送り、妻と浜頓別へ

7月7日(火) 民宿 8:00 → 11:50 稚内空港 14:40 → 16:30 浜頓別 浜頓ホテル
 8時に出発してノシャップ岬、稚内公園、宗谷岬を観光して、12時前に稚内空港に着いた。Kさんは妻が乗ってくる飛行機の折り返し便に乗ることになっていたが、その前の12時20分発の便に空席があったのでそれに搭乗することになった。Kさんを見送り、空港のレストランでハンバーグを食べた。
 2時間後に来る予定の妻の搭乗機は10分遅れで到着した。妻を車に乗せて再び宗谷岬に行き、ゲストハウス「アルメリア」まで登って広い牧場と海を眺めた。宗谷岬は日本最北の地ということで一大観光地になっていた。
 それから北海道のオホーツク海沿岸を浜頓別に向かった。沿道の風景は日本海側より少しうら寂しい感じがした。曇っているせいかもしれない。
 浜頓ホテルは街中の旅館風ホテルだった。温泉ということだったが、小さな浴槽に黒くて油っこい湯が溢れていた。重油の成分でもはいっているのだろうか。
 夕食は品数が多くて私たち老夫婦には食べきれなかった。食卓にタラバガニが2本、毛ガニが1匹、ホタテの刺身8切れ、さらにエビのフライに刺身盛り合わせ、鮭のフライ、カニの柳川鍋、茶碗蒸しが並べられると見ただけで食欲がなくなってしまう。一生懸命食べたがさすがに全部を平らげることはできなかった。
 夕食後にクッチャロ湖まで歩いて湖畔の夕焼けを眺めた。大きな湖で冬には白鳥が沢山やってくるそうだ。しかし誰もいないので淋し過ぎて早々に引き上げた。
稚内空港 宗谷岬
稚内空港 宗谷岬

富良野を回って旭岳温泉へ

7月8日(水) 浜頓ホテル 8:00 → 12:00 旭川 → 富良野 → 16:00 グランドホテル大雪
 本日は旭岳温泉への移動日である。オホーツク海岸を離れ北海道の中央に向かって南下する。天気はぐずついて雨が降り始めた。2回目のガソリン補給をして昼過ぎに旭川に着いた。妻は初めてなので「青葉」でラーメンを食べた。美瑛に向かうも雨が酷くなってきたので写真家前田真三のギャラリー「拓真館」に行って、美瑛の美しい風景写真を堪能した。車に戻って国道を離れた道を走っていると、波打つような丘陵、長い畝、前田真三が魅せられた美瑛の風景が拡がっていた。美瑛から富良野にかけて修学旅行のバスが沢山走っていたがこの雨は気の毒だった。夏というのに肌寒く、雨合羽を着て観光地を歩いてもズック靴がずぶ濡れになって早くバスに戻りたいと思うだろう。今日も十勝岳は見えなかった。そのまま旭岳温泉の宿、グランドホテル大雪に向かった。
 ホテルの温泉は高い壁から滝のように流れ出した湯が3連になった浴槽に流れ、順に温度が下がっていくという趣向になっていた。湯量豊富で気持のいい温泉だった。夕食はやはりカニ尽くしだったが昨日ほど量は多くないのでほっとした。

北海道最高峰の大雪山旭岳は霧の中

7月9日(木) ホテル 7:30 → 7:40 ロープウェイ駐車場 → 8:00 旭岳ロープウェイ山麓駅 → 8:20 旭岳ロープウェイ姿見駅 → 10:05 大雪山旭岳山頂 10:20 → 11:40 ロープウェイ姿見駅 → 12:10 ロープウェイ山麓駅駐車場 12:30 → 17:05 ニセコ東山プリンスホテル
 朝、起きてみると小雨が降ったり止んだりしている。朝食を一番で済ませ、出発する。旭岳ロープウェイの乗場はすぐ近くだった。駐車場で登山靴に履き替える。妻は今回の山行のために登山靴を新調していた。雨のせいかロープウェイ乗場はそれほど混んでいない。それでも20分間隔で出発する46人載りのキャビンは満員だった。一度乗り換えて標高1600Mの姿見駅に着いた。雨は止んでいたが霧が立ち込め視界は100M程だった。登山道を歩き始め、旭平と呼ばれるなだらか丘を登るとハイマツに中にエゾツガザクラ、チングルマが群落になって咲いていた。左に薄霧を透して姿見池が見えた。そこから先は砂礫帯の尾根を登るようになる。左手に地獄谷の噴気が聞こえてくる。霧が薄れると噴煙が吹き出しているのが見える。ザクザクと火山礫地を歩いて1ピッチで休憩する。小学生くらいの女の子を連れた外人夫婦が元気に登って行った。
 登山を再開し、展望もない登山道を黙々と登って、少し左手に廻って高みに向かうと間もなく旭岳山頂に着いた。眺望は得られずがっかりだ。晴れていれば十勝岳も見えたのにまったく付いてない。北海道の最高峰だからゆっくりしたい所だったが霧が晴れそうもないので下山する。一瞬明るくなったと思ったら強い雨がザーッと降り出した。慌てて傘を取り出す。風が吹いていないのが不幸中の幸いだった。強く降ったのは10分程だったが傘だけだったのでズボンの裾はびしょ濡れになった。旭平に着いた頃には雨は止み、高山植物の写真を撮りながらゆっくり歩いた。コマクサも至る所に咲いていた。さすが高山植物の宝庫大雪だ。
 ロープウェイで山麓まで降りマイカーに戻ると、後はニセコまで長いドライブだった。コンビニのサンドイッチを昼食とし、旭川から小樽まで道央自動車道、札樽自動車道を乗り継ぎ、小樽で3回目のガソリン補給をして、国道を余市から倶知安に出て、ニセコ東山プリンスホテルに着いた。
 ホテルは広くて快適だった。15階の部屋から羊蹄山が見えるはずだったが、麓からすっぽり雲に覆われていた。
 温泉は広い浴室で気持よかった。夕食はレストラン「ボーセジュール」での洋食にした。
噴気 チングルマ
登山道近くの噴気 チングルマ
エゾツガザクラ ヒメイソツツジ
エゾツガザクラ ヒメイソツツジ?
お花畑 姿見ノ池
お花畑 姿見ノ池

今日も雨で登山は中止、支笏湖へドライブ

7月10日(金) 支笏湖ドライブ
 午前4時に起きて登山の支度をして、5時にテレビの天気予報を見ると、北海道は傘マークと雲マークばかり。道東方面は大雨洪水警報が出ていた。明日は前線が通過し回復するということだったので登山は明日に延期した。少し気が抜けたが、ホテルで朝食を取り、ドライブに出かけた。まず明日の登山口となる半月湖の駐車場を確認に行った。広い駐車場の一番山に近い場所にスバルのワゴン車が駐車していて、ハッチバックが開いて私と同年配の男が降りてきた。起きたばかりのようで身体を伸ばしていた。話し好きの人で、その車で寝泊まりしながら北海道の百名山9座を登るつもりだといった。後部座席を前に倒して荷物スペースを拡げ、両側に棚を作って食料や登山道具などが並べられていた。真ん中にシュラフが敷かれていた。年金暮らしになってから気ままな旅をしているということだった。そういう旅もいいなと思った。今日は天気が悪いので登らないといっていた。半月湖にも行ってみたが静かすぎて落ち着かなかった。
 それから支笏湖に行って湖を一周した。曇り空の下では湖面も鉛色に見えて冴えない。湖畔の食堂で食べたチップソバは美味かった。帰り道にあった大滝の道の駅の「1億円のトイレ」で用を足した。なぜか自動演奏のピアノがあったりおかしなトイレだった。
 ニセコに戻ってコンビニで明日の食料として握り飯などを購入した。

羊蹄山も雨だった

7月11日(土) ホテル 4:40 → 5:15 半月湖駐車場 → 7:00 5合目 → 7:30 6合目 → 8:22 8合目 → 8:35 9合目 → 9:10 羊蹄山山頂 9:20 → 10:35 6合目 → 12:00 半月湖駐車場 12:22 → 12:45 ホテル 13:40 → 洞爺湖 → 室蘭 → 17:30 苫小牧フェリーターミナル → 23:45 出港
 朝、目覚めると先ずカーテンを開けて外を見た。今日もガスがかかっている。妻は行かないというので1人で登ることにする。手早く身支度してホテルを出る。下見しておいたヒラフコースの登山口駐車場に着くと、昨日会ったワゴン車の人が車の窓から眠そうな顔を出した。登るかどうか決めていないようだった。
 登山届をポストにいれると1組が先行しているようだった。スタスタ歩きだすと胸にちょっと違和感があったのでペースを落とした。後から来た中年夫婦と男性2人組と相前後して登る。熊注意の看板がないので少し安心である。エゾマツがすっと真っ直ぐに伸びる森の道は歩いていて気持がいい。緩い登りが続いたが、次第に傾斜がきつくなってきた。霧雨が降り出したので傘を差して登る。どうも昨日の天気予報は当たらなかったようだ。2ピッチ目の休憩で雨具のズボンを穿いた。雨が止まないので3ピッチ目で上着も着けた。休憩する毎にアンパン、握り飯などを口にいれる。ダケカンバのトンネルを潜るような樋状の道をひたすら登る。だんだん調子が出てきて着実なペースで高度を稼ぐ。
 9合目で樹林帯を抜け、標識に「左 頂上」とある。シャクナゲの葉に付いた水滴がダイヤモンドのように輝いている。高山植物が咲き乱れている。草原状の緩やかな登りが尽き火口壁に出た。その先が切れ落ちていたが火口は霧に隠れて見えない。火口の縁を時計回りに登って行くと、細い柱の山頂標識が立っている羊蹄山山頂だった。晴れていればどんなに素晴らしい展望だろうかと本当に残念だった。後から来た夫婦連れに写真を撮ってもらい、早々に下山開始した。雨の中でも健気に高山植物が咲いている。9合目辺りは種類も多く本当に見事だった。高山植物の名前はなかなか覚えられないが、登った記念に写真を撮りながら降りた。
 順調に下って行ったが登りの時より一段と道がぬかるみ甚だ歩きにくかった。土曜日なのでこの雨でも登って来る者が多い。中高年の女性登山者が多いのには驚いた。
 駐車場でズボンと上着を着替え、濡れた衣類はビニール袋にぶち込み、ホテルに戻った。ロビーで待っていた妻はほっとしたようだった。
 広い浴槽を独り占めにして大きく身体を伸ばすと疲れが飛んでいくようだった。
 全ての登山を終えて帰路に付いた。洞爺湖の湖畔を少し散歩して、太平洋岸に出て、室蘭を通って苫小牧に向かった。フェリーターミナルに着き、乗船手続きを済ませ待合室で休んでいると、テレビで「北の国」の再放送をしていた。北海道に住んでみたいとちらっと思った。
羊蹄山花 羊蹄山花
ホタルブクロ? 高山植物
羊蹄山花 羊蹄山花
キバナシャクナゲ? ハクサンボウフウ?
羊蹄山花 羊蹄山花
高山植物 高山植物
羊蹄山花 羊蹄山花
高山植物 高山植物
羊蹄山花 羊蹄山花
クルマユリ 高山植物

フェリーで北海道を去る

7月12日(日) → 19:00 大洗フェリーターミナル → 22:40 自宅
 夜大きな揺れとギシギシする音に目が覚めた。船酔いが心配になり酔い止めのトローチを舐めた。うつらうつらしていると明るくなってきた。ベッドに寝たまま窓の外を見ると波は小さくなっていて、朝食に行く時には揺れは収まっていた。行きは1人だったが帰りは妻と一緒なので退屈はしない。バスにはいったり、ビールを飲んだり、テレビを見て過ごす。7時に大洗に着き、参院選の開票速報を聞きながら車を走らす。ほとんど渋滞もなく自宅に戻った。選挙では野党が躍進していた。
 天候には恵まれなかった。北海道に梅雨はないないと聞いていたがどうしたことだろう。しかしKさんと登った利尻岳だけは晴れていた。Kさんとは多くの山に登ったが雨に遭った記憶はない。Kさんは晴れ男だったんだなと思った。あまり天候には恵まれなかったが広い北海道を愛車でドライブしたのは楽しかった。走行距離は2,100Kmだった。

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