山上の庭園、トムラウシ
(2003年7月)
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トムラウシを望む |
トムラウシ山頂標識 |
初めてツアー登山に参加
7月12日(土) 自宅 7:10 → 8:35 羽田空港 10:15(JAS153) → 11:50 とかち帯広空港 12:20 バス → 14:50 トムラウシ温泉東大雪荘
2年間山にご無沙汰していたがようやく年金も出るようになったので、トムラウシに登ることにした。北海道の山に一人で行くのは飛行機やレンタカーの予約が面倒で費用も割高になる。それにヒグマも怖い。そこで今回初めてアサヒ旅行のツアー登山を利用することにした。
当日、羽田空港の集合場所に集まってきたのは男性4名、女性12名で、いずれも中高年である。添乗員は2名だった。
とかち帯広空港に着陸すると曇っていた。チャーターバスに乗り込み、トムラウシ温泉に向かった。ジャガイモの白い花が一面に咲いている。小豆は青い葉が出たばかりである。やはり北海道は広々としている。山間の道にはいって夕立が通り過ぎていった。
東大雪荘に着き、3時過ぎには部屋に通された。同室は4名だった。早速風呂にはいる。浴室は大きくて気持がよい。透明な湯で肌がすべすべする。露天風呂に出てみると、時折名残の雨がぱらぱらと湯面に波紋を立てていた。
部屋に戻りテレビの相撲中継を見ていると、突然電灯が消えた。落雷があったようだ。
夕食は大広間に用意されていた。照明は消えていたが外がまだ明るいので食事はできた。停電でエレベーターはもちろん、温泉もだめ、水も出ない、トイレも使えなかった。部屋に戻り、明日に備えてザックのパッキングを済ませ、布団を敷いて横になった。窓の外はまだ明るいが部屋の中は段々暗くなってきた。ヘッドライトの電池は3年前のままだった。旅館泊まりなので使うことはあるまいと高を括っていたが、電池がどのくらい保つか心配になってきた。うとうとしているとぱっと電灯が点き、テレビの音が聞こえてきた。7時のニュースだった。
トムラウシ、ひたすら登って山頂に立つ
7月13日(日) 東大雪荘 3:45 バス → 4:05 登山口駐車場 4:11 → 5:32 カムイ天上 朝食 5:50 → 6:53 カムイサンケナイ沢 → 7:42 コマドリ沢 → 8:44 前トム平 → 9:30 トムラウシ公園 → 10:25 南沼分岐 → 10:55 トムラウシ山頂 → 11:24 南沼分岐 11:43 → 12:25 トムラウシ公園 → 13:48 コマドリ沢 → 14:31 カムイサンケナイ沢 → 15:46 カムイ天上 → 17:02 駐車場 バス → 17:30 東大雪荘
2時半に目が覚めたのでトイレを済ませ風呂に行く。誰もいない大浴場でゆったり湯に浸かって気持よかった。部屋に戻るとみんなも起き出した。
3時半に旅館のマイクロバスに乗り込むが、寝坊した部屋があり15分遅れで出発。薄明かりの中を20分で登山口の駐車場に着いた。トムラウシは距離があるので、マイクロバスで歩行時間を約1時間カットできたのは大きい。駐車場にはトイレもあった。
1列になって出発。男性4人は後ろに付く。こんな長い隊列は学生時代以来だ。天気はぱっとしない。しばらく緩やかな登りで次第にぬかるみが多くなる。私を除いて全員スパッツを付けている。事前に注意はなかったが皆それなりにコースの研究はしているようだ。私はあまりスパッツは使わないが、ズボンが汚れても替えズボンがあるので問題ない。
マタタビの葉が白い花のように見える。道端にゴゼンタチバナが、木陰にはシャクナゲがひっそり咲いている。1時間20分でカムイ天上に着き、前トムラウシが樹間に見える。ここで朝食弁当の握り飯を食う。アサヒ旅行は40分歩いて5分休むというピッチのようだ。ゆっくりしたペースで草臥れることはないが、休憩時間が短すぎて慌ただしい。
カムイ天上からカムイサンケナイ川に斜めに下る。評判に違わぬぬかるみの道だ。ずっと雨が降っていたらしい。1時間で沢に下り、何回か沢を渡り返して、コマドリ沢出会で休憩した。
コマドリ沢は雪渓がたっぷり残っていた。それほど急ではないからツボ足で直登する。ぬかるみの道よりはるかに快適だ。雪渓を登り切り、岩の道を進み、巨岩の累積する斜面をトラバース気味に上り、折り返して登ってゆくと、前トム平に出た。イワブクロやエゾツガザクラが咲き誇っている。
さらに登って尾根に出ると、一瞬霧が晴れて、足下に盆地状の草原が拡がった。トムラウシ公園だ。岩に囲まれた草原に、雪渓や池がちりばめられ、まさに天上の楽園である。写真を撮りたかったが、団体登山の哀しさでシャッターチャンスを逃した。いったん下り、草原を渡って向かいの斜面に取り付くと、雨が降り出してきた。急いで雨具を着る。この辺りお花畑が素晴らしい。ハクサンイチゲ、チングルマが至る所に咲いている。コマクサも多い。小さな花だが深紅からピンクへのグラデーションが何ともいえぬ美しさだ。
溶岩流の跡を登って行くとナキウサギの声が聞こえた。大らかな斜面を登り切ると縦走路に出た。南沼分岐である。雨が止んだ。ザックをデポして頂上に向かう。岩稜の急斜面をよじ登るとトムラウシの山頂に到着した。狭い山頂に三角点と山名標柱が立っている。ガスに囲まれ周囲の眺望は得られない。長居もできず5分ほどで山頂を辞した。
南沼で昼食となった。我々の他に30人ほどの団体も一緒になってかなり騒々しい。二個目の弁当を食べる。再び雨が降り出してきたので慌てて傘を拡げる。握り飯1個を食べ、フルーツの缶詰を開けていたら出発の予告があった。おちおち飯も食えない。慌ただしく荷物をザックにしまい出発する。
雨は降ったり止んだりで、雨具を着けたり外したり。ゆっくり下るので疲れはしないが時間はかかる。トムラウシ公園、コマドリ沢出合、カムイサンケナイ沢離脱点と相変わらず5分の休みを取る。カムイ天上までの登りは雨のせいで朝より一層ひどい泥田となっていた。私はスパッツがないので木の枝にぶら下がってぬかるんでいない道の脇を歩いたが、泥の中を進んだ方が楽だったかもしれない。皆かなり疲れてきたようだが大きく遅れる者もなくカムイ天上まで登り切った。後は暗くなってきた林の中をノロノロ下って5時過ぎに駐車場に着いた。
アサヒ旅行のピッチはスローペースで、30分歩いて5分休むことが多かった。TWVでは50分歩いて10分休むのが基本だったので、5分の休憩は甘味品を出したりしまったりするのに忙しくて休んだ気がしなかった。もっとも、ゆっくりあるいて休憩時間を短くするのは中高年登山者には向いているのかもしれない。
トムラウシはひたすら長かったが、稜線付近の美しい佇まいはやはり素晴らしかった。高山植物も豊富で、花の名をあまり覚えられない私でも12種を挙げることができた。晴れた日に幕営したらさぞ気持がいいだろうなと思った。
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稜線は近い |
南沼分岐 |
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コマクサ |
高山植物 |
最終日はのんびり帰るだけ
7月14日(月) トムラウシ温泉 8:10 → 11:00 とかち帯広空港 12:35(JAS154) → 14:10 羽田空港 → 17:00 自宅
爽やかに晴れていた。昨日が今日ならと思ったが天気ばかりは致し方がない。トムラウシの山頂を踏んだのだから文句はない。
バスは2座席を占有してゆったり座る。途中、六花亭に寄って、空港へ。
空港の手荷物検査がやたらに厳しくて閉口した。靴まで脱がされて不愉快だった。
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