嗚呼,華の大障害(3)

大竹柵に挑む

定刻の15時30分を少し過ぎたころ。発走を知らせるファンファーレが鳴り渡ります。前述の通り,このファンファーレは新作(三枝成章作曲)なのですが,個人的にはいまいちかなぁ。平地用のがあまりに有名すぎるからでしょうか…。

スタート。テレビ中継を見ていれば,状況は手に取るようにわかるわけですが,そこは競馬場。場内放送がたよりです。(今度,関東の土曜日の競馬中継に出ることになった女性が,なかなかいいらしい,ってきいたんですが…まだ見ていません。昔の土曜日の競馬中継の子とか騎手と結婚しちゃうのかなぁ。そういえば佐野量子もいまや世界の武豊の夫人だし。)

…話がずれているうちに(^^;),各馬が大障害コースにさしかかりました。

大竹柵に挑む
大竹柵に挑む各馬。

テレビ中継では決して味わえないのが,各馬が障害を飛ぶときの音。土台に脚をぶつけたときの音や,竹柵と馬体がこすれるときの音…。これは行ってみないとわかりません。大障害以外のレースでは,観戦席と障害が離れすぎていて,この音はわからないことが多いんです。これがわかるのは,JRA中京競馬場などの,障害専用コースがない競馬場での障害競走でしょうか。

この大竹柵では,落馬は一頭もなし。さすがは最高峰のレースです。

ぐるんとまわって

各馬が大竹柵を飛び越えると,今度はまた8の字状に走って,再び大障害コースに入ってきます。次に飛ぶのは,一番の難所・大生け垣。さっきの大竹柵の向こう側にあります。

大生け垣に挑む
大生け垣に挑む

ここでも落馬は無し。まさに最高峰のレースです…と思っていたら,その先で1頭落馬。それにぶつかる形でもう1頭落馬。最初に落ちたのは,ポレール号という馬でした。

ポレール号は,4年前にぼくが見に行った中山大障害(春)を勝ってから,その年の秋,翌年の春と,中山大障害を3連勝した馬です。当時の中山大障害は,数えで6歳以上の牡馬で負担重量59kg+中山大障害1勝ごとにさらに2kg,というルールでした。ポレール号は,後に59+2×3=65kgを背負って2着に敗れ,それ以来勝ち星に見放されてきました。1999年の改正からは,大障害を何回勝とうが63kgで出られるようになりました。思い入れのある馬だっただけに,健闘を期待したんですが…。

そして,ポレール号は今回の中山グランドジャンプで引退。ひとつの時代が終わりました。

馬券の方は…

大生け垣を飛び終えたら,あとは外周を回ってゴールへ。大障害コースに集まっていた観衆は,みなゴールが見える方向へ駆け出していきます。ぼくもそっちへ。

ぼくが買っていた馬・ファンドリロバリー号は,スタンド直前まで先頭でしたが,あれよあれよという間にずるずる後退。かわりに出てきたのは,一番人気の馬・ゴーカイ号。(これまたすごい名前ですが(笑))1着ゴーカイ号,2着がフランスからの招待馬・ボカボカ号(こっちも負けず劣らずすごい名前です(苦笑))で決着。馬券はかすりもしませんでした。

勝ったゴーカイ号はグランドジャンプ初制覇。1着賞金は8000万円。これが,馬主,騎手,調教師,生産者などの関係者に所定の割合でわけられます。勝利騎手・横山義行くんは,1998年の中山大障害(秋)以来の障害GI級勝利。新しい障害馬や若い騎手が障害重賞を勝っていくのは,障害競走の発展につながることですから,いいことですね。期待しています。(^^)

…そして,ぼくは,同時開催の他競馬場の重賞や,翌日の皐月賞には目もくれず,中山を後にしたのでした。この日は,新宿で会社の入社1周年同期会。飲み代は出なかったけど,楽しい一日でした。



用語
中京競馬場
愛知県,桶狭間にある競馬場。年に一度,平地のGI競走が開かれます。
負担重量
レースの際,競走馬が背負う全重量(騎手+馬具一式+調整おもり)。春シーズン,5歳牡馬の代表的な負担重量は,平地競走で57kg,障害競走で60kg。その他,年齢,性別,ハンディキャップや過去稼いだ賞金額などで加減する場合あり。