「恋のフーガ」,買ってきました。好みに合う方でも合わない方でも,両方の意味で予想を裏切ってきたなぁ,というのが正直な印象です。「歌謡曲,だいすっき!」なこの日記ですから,比較の対象はもちろん「ザ・ピーナッツ」のオリジナル。
恋のフーガ
伴奏は,ベテラン・馬飼野康二さんの編編曲(オリジナルの編曲者・宮川泰さんに敬意を表したのでしょう)ということで,スクラッチ以外はかなり素直だなぁ,と感じます。その分,「打ち込み」の物足りなさを先に感じてしまいます。や,ティンパニだけでも生にしたのはいいんですが…やっぱり,年代物の歌謡曲を正攻法でカバーするんであれば,打ち込みは極力避けて欲しい,というのが本音です。特に金管の「いかにも打ち込み」感が…。打ち込み抜きでは成り立たない今ではもう無理でしょうが…そのデメリットを極力抑えるための布陣が,ベテラン・馬飼野さんの(打ち込みまで含めた)編編曲起用だったのでしょう。「恋のバカンス」では,打ち込みの弱点が出ないようにしつつ,原曲の雰囲気をある程度残すのに成功していただけに,今回の編曲にはちょっと不満。せっかく馬飼野さんにお願いするなら,生バンドで行って欲しかったなぁ。
肝心の,のんちゃんとあいぼんのボーカル。「デュオU&U」の頃に比べると,「ザ・ピーナッツ」の持ち味から自由になっているな,と感じます。双子のようで双子で「ない」のが「ダブルユー」なんですから,これで正解だと思います。
ふりむかないで
「ハロモニ。」等で何度か聴いていた「恋のフーガ」と違って,「ダブルユー」版の「ふりむかないで」は,完全に初聴きです。原曲では,冒頭をクラシックシンセが派手に飾って,そのままなだれ込んでいきます。「デュオU&U」や「恋のフーガ」と同様に,ほぼ現編曲をなぞって正攻法で来て,その上で,のんちゃんとあいぼんが「ぶりぶり」にすっ飛ばしていくのを期待していたんです。が…。
…何だ,このまったり感は!!思いきり出ばなをくじかれましたよ…(^^;。そのまったり感は,メインフレーズに入っても続きます。この曲の特徴である,掛け合いの代表的なものが…
ふりむかな〜はっは〜あ〜い〜でぇ〜
・・・・・・・・・・・・・・はっは・はっは・ははは〜っ
…なのですが,ここを「ダブルユー」は…
ふりむかな〜はっは〜あ〜い〜でぇ〜
・・・・・・・・・・・・・・はっは・はっは・ははは〜ぁっ!
…そこまでひねり上げないってば!(笑)。そこまで遊び倒すのかいな!や,ボーカルは,よい意味で歌謡曲の物まねをパロディ化した仕上がりです。この手のパロディを「物まね」で終わらせないものにするには,やる方の技量が問われますが…「ダブルユー」はそこをクリアしている,と思ってよいでしょう。予想とはちょっと違いましたが,楽しく仕上がっています。そして,声の響きは,のんちゃん・あいぼんそのもので,まるで,オリジナル曲を歌っているかのような自由さ。ちょうど,「乙女の携帯電話の秘密」のときのような。
同じように,編曲・エフェクトにも,遊び倒し感満点です。ここは,打ち込みならでは。冒頭を,原曲のウインド疾走系から,スクラッチ→脱力系に変えてきただけじゃなくて。このへんは,共編曲の田中「CRAZY ABOUT YOU」直さんの腕でしょうか。最初は抵抗を感じましたが,これはこれで一緒に遊び倒してしまえばいいわけで。
けど…どうして脱力からべったべたのパロディへ,と持っていったのかなぁ。と思ったら…これ,「新世紀・名古屋城博」とタイアップしているんですね。例の,のんちゃんとあいぼんが,鯱のスカートを穿いて登場したアレですよ…道理で(笑)。
あとは…
生歌唱がどこまでいけるか,ですね。ハロコンでの「ロボキッス」のように,披露のほとんどがダンスだけ,というようにはならないで欲しいなぁ。「ダブルユー」の,カバーだけどオリジナルからは自由な歌唱に期待しているので…。